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「休んでも疲れが取れない」ときに試してほしいこと

休んでいるのに疲れが取れない、何もしないと焦る。そんなとき、「活動の切り替え」が本当の休息になることがあります。作業療法士がやさしく解説します。

📅 2026年3月27日 更新読了目安 24分

この記事のポイント

  • 「疲れているのに休めない」「休むと罪悪感がある」── その矛盾には理由があります
  • 精神科医・森田正馬の「休息は仕事の中止にあらず、仕事の転換にあり」は、作業療法の理論と深く共鳴します
  • 作業療法では「活動の質的転換」による回復を「積極的休養」として重視しています
  • 何もしない休息がかえって心を消耗させることがあります。大切なのは「何に切り替えるか」です

「休んでも疲れが取れない」という矛盾

「疲れているのに、じっとしていられない」「休もうとすると、かえって不安になる」── そんな経験はありませんか。

特に精神的な疲れを抱えているとき、何もしないでいると同じことをぐるぐる考え続けてしまうことがあります。「自分はダメだ」「あのとき、ああすればよかった」── こうした思考がループすると、休んでいるはずなのに、心はどんどん消耗していきます。

精神科医の森田正馬という方が、こんな言葉を残しています。

森田正馬の言葉

「休息は仕事の中止にあらず、仕事の転換にあり」

つまり、「完全に止まる」のではなく「別の活動に切り替える」ことが本当の休息になるという考え方です。これは、作業療法で大切にされている考え方ととてもよく重なります。

なぜ「何もしない」がつらくなるのか ── 作業剥奪の視点

なぜ何もしないと不安になるのか

人は、何かしらの「意味ある活動」に取り組んでいるとき、心が安定するようにできています。

作業療法では、意味ある活動から切り離された状態を「作業剥奪」と呼びます。これは「やりたいことができない」「やるべきことがない」状態のことです。

何もしないと起きること
  • 「何もできない自分」という気持ちが強くなる
  • 同じことをぐるぐる考え続けてしまう(反芻思考)
  • 時間がとても長く感じられ、焦りが募る
  • 人とのつながりが薄れていく

つまり、「何もしない」こと自体が心の負担になっている場合があるのです。だからこそ、「完全に休む」のではなく「別の活動に切り替える」ことが大切になります。

「活動の切り替え」は作業療法の基本原理

「切り替える」とはどういうことか

作業療法では、生活のバランスをとても大切にしています。仕事ばかり、休息ばかりではなく、いろいろな種類の活動をバランスよく行うことが、心身の健康につながると考えます。

では、「活動を切り替える」とは具体的にどういうことでしょうか。

活動の切り替え方
  • 頭が疲れたら身体を動かしてみる(散歩、ストレッチ、掃除など)
  • 人疲れしたら一人で手を動かす(料理、手芸、ガーデニングなど)
  • 言葉に疲れたら音楽を聴く、絵を描く、自然の中を歩くなど

ポイントは、「疲れた部分」とは違う部分を使う活動に切り替えることです。頭が疲れているなら頭を使わない活動を、人と関わることに疲れたなら一人でできる活動を選びます。

これは「同じ回路を休ませて、別の回路を使う」ということ。完全に止まるのではなく、使う場所を変えることで、疲れた部分を自然に回復させるのです。

OTが重視する3つの補足 ── より安全な実践のために

「活動を切り替える」ことの大切さを理解した上で、知っておいていただきたい3つのポイントがあります。

ポイント1: 「丁度よさ」が大切

切り替え先の活動が難しすぎても、簡単すぎてもうまくいきません。

丁度よい活動の見つけ方
  • 「ちょっとがんばればできる」くらいの活動を選ぶ
  • 「できた」と感じられるレベルが目安
  • 最初は短い時間から始めて、少しずつ広げていく

散歩ひとつとっても、30分歩くのか5分歩くのかで負担はまったく違います。今の自分に合った「丁度よさ」を見つけることが大切です。

ポイント2: 「自分にとって心地よいこと」を選ぶ

「身体を動かすのがいい」と言われても、運動が嫌いな方にとってはかえってストレスになります。

大切なのは、自分が「これなら心地よい」と感じる活動を見つけることです。料理が好きなら料理を、音楽が好きなら音楽を、手芸が好きなら手芸を。正解は一人ひとり違います。

ヒント

「自分にとっての心地よい切り替え」がわからないときは、作業療法士(OT)に相談してみてください。一緒に探すお手伝いをしてくれます。

ポイント3: つらいときは無理しない

心身の状態がとても悪いとき──起き上がるのもつらい、何も考えられないというときには、「活動を切り替えましょう」と言われても難しいものです。

こんなときは無理しないで
  • 何日も眠れない、または起き上がれない
  • 食欲がまったくない、または食べ過ぎてしまう
  • 「死にたい」という気持ちが浮かぶ
  • 日常の最低限のこと(着替え、食事)もできない

このような状態のときは、まず十分な休息と専門家への相談が優先です。積極的休養は、少しずつ回復してきた段階で取り入れるものです。

実践 ── 「積極的休養」を生活に取り入れる

まず「何に疲れているか」を考えてみる

「疲れた」と感じたとき、「何に疲れたのか」を少し考えてみてください。

1

頭の疲れ

考えることが多かった。判断の連続だった。集中し続けた

2

身体の疲れ

身体を動かした。同じ姿勢が続いた。力仕事をした

3

人疲れ

人と会い続けた。気を遣う場面が多かった。会話がしんどかった

4

感覚の疲れ

騒がしい場所にいた。スマホを見すぎた。情報量が多すぎた

疲れの種類に合わせて「切り替える」

疲れの種類がわかったら、その反対の活動に切り替えてみましょう。

切り替えのヒント
  • 頭が疲れたら散歩、ストレッチ、料理、掃除など身体を使う活動へ
  • 身体が疲れたら音楽を聴く、読書、お風呂にゆっくり入るなどリラックス活動へ
  • 人に疲れたら手芸、絵を描く、ガーデニングなど一人でできる活動へ
  • 感覚が疲れたら静かな場所で深呼吸、単純な片づけなど低刺激の活動へ

ヒント

最初から完璧に切り替えなくて大丈夫です。「5分だけやってみる」くらいの気持ちで始めてみてください。5分やってみて心地よければ続ければいいし、合わなければやめて別のことを試せばいいのです。

まとめ

ポイント
「疲れているのに休めない」のは、あなたのせいではありません。

何もしない休息がかえってつらいとき、「別の活動に切り替える」という選択肢があります。頭が疲れたら身体を動かす。人に疲れたら一人で手を動かす。使う場所を変えることで、疲れた部分を自然に回復させる── それが「積極的休養」です。

大切なのは、自分に合った「心地よい切り替え」を見つけること。わからないときは、作業療法士に相談してみてください。一緒に探すお手伝いをしてくれます。

ご家庭でできること
  • 「何に疲れたか」を意識してみる: 「疲れた」と感じたとき、それが頭の疲れか、身体の疲れか、人疲れかを考えてみてください。それだけで「何に切り替えるか」のヒントが見つかります
  • 「5分だけ」別のことをしてみる: デスクワークに疲れたら5分だけ散歩する、人疲れしたら5分だけ好きな音楽を聴く。短い時間でも十分です
  • 「心地よかった切り替え」を覚えておく: うまくいった切り替えパターンは、自分だけの「積極的休養リスト」として覚えておきましょう。次に疲れたとき、迷わず実行できます

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