この記事のポイント
- 福祉用具は介護保険でレンタルできるもの(13種目)と購入できるもの(5種目)に分かれており、正しく使えば自己負担を大幅に抑えられます
- 福祉用具と自助具は目的が異なり、福祉用具は「安全の確保」、自助具は「動作の自立」を主な目的としています
- 用具選びでは「本人の生活動作を観察してから選ぶ」順序が重要で、カタログだけで決めると失敗しやすくなります
- 作業療法士は生活全体を見て用具を提案できる専門職であり、選定から適合・フォローアップまで関わります
- よくある失敗を避けるには、試用・フィッティング・定期的な見直しの3ステップが欠かせません
はじめに ── 福祉用具ひとつで生活が変わる
「退院して家に帰ったけれど、トイレまで歩くのが怖い」「ベッドから起き上がるのに毎回苦労している」──こうしたお悩みはありませんか。
適切な福祉用具があれば、転倒の心配を減らしながら、ご本人ができることを続けられます。一方で、体に合わない用具を使い続けると、かえって危険が増してしまうこともあります。
この記事では、福祉用具の種類と選び方のポイントを、わかりやすくお伝えします。
福祉用具と自助具 ── 似ているようで違うもの
福祉用具と自助具は、似ているようで違います。
福祉用具は、車椅子や介護ベッド、手すりなど、安全を守るための道具です。介護保険を使えば、月々数百円からレンタルできるものもあります。
自助具は、太柄スプーンやボタンエイドなど、ご本人が自分でできることを増やすための道具です。こちらは介護保険の対象外で、数百円から数千円で購入できます。
「どちらが必要かわからない」というときは、作業療法士に相談してみてください。生活の様子を見て、最適な道具を提案してもらえます。
介護保険で利用できる福祉用具
介護保険を使えば、福祉用具を1割から3割の自己負担で借りたり買ったりできます。
どんなものが借りられるの?
レンタルできるのは、車椅子、介護ベッド、手すり、歩行器、スロープなど13種目です。月々数百円から数千円で借りられるものが多くあります。
どんなものが買えるの?
シャワーチェアやポータブルトイレなど、衛生面からレンタルに向かないものは購入の対象です。年間10万円を上限に、1割から3割の自己負担で購入できます。
特にシャワーチェアは、1つあるだけで入浴の安全性がぐっと上がります。ご家族の介助の負担も減りますので、ぜひ検討してみてください。
注意
要支援1・2や要介護1の方は、車椅子や介護ベッドなど一部の用具がレンタルできない場合があります。ただし例外もありますので、ケアマネジャーに確認しましょう。
福祉用具選定の正しいプロセス
どうやって選べばいいの?
福祉用具を選ぶときに大切なのは、カタログだけで決めないことです。以下の順序で進めると失敗しにくくなります。
1. 困っていることを具体的にする:「トイレに行くとき怖い」「お風呂で立ち上がれない」など、場面を特定します。
2. 専門家に相談する:ケアマネジャーや作業療法士、福祉用具専門相談員に相談すると、適切な用具を提案してもらえます。
3. 実際に試してみる:必ず実物を試してから決めましょう。高さやサイズが合っているか、ご本人が使いやすいかを確認します。
4. 使い始めた後も見直す:体の状態は変わっていきます。半年に1回くらいは、今の用具が合っているか確認しましょう。
よくある失敗例と対策
やりがちな失敗にご注意ください
カタログだけで選ぶ:写真だけでは体に合うかわかりません。必ず実物を試しましょう。
大きすぎるものを選ぶ:車椅子が廊下を通れない、歩行器が玄関に入らないということがあります。家の中の寸法を測っておくことが大切です。
ご本人の意見を聞かない:ご家族だけで決めると、ご本人が使いにくくて結局使わなくなることがあります。必ずご本人の意見を聞いて、試してから決めましょう。
ずっと同じものを使い続ける:体の状態は変わります。半年に1回くらいは「今の用具で大丈夫かな」と見直すことをおすすめします。
作業療法士に相談するメリット
なぜ作業療法士に相談するとよいの?
作業療法士は、日常生活の動作を詳しく分析できる専門家です。「歩く」だけでなく、「トイレで座る」「お風呂で浴槽をまたぐ」といった具体的な場面を見て、最適な用具を提案してくれます。
また、訪問リハビリを利用すると、実際のご自宅の環境を見ながら用具を選んでもらえるので、「家に合わなかった」という失敗を防げます。
相談先としては、担当のケアマネジャー、病院のリハビリテーション科、地域包括支援センターなどがあります。
まとめ
- 福祉用具は介護保険を使えば少ない自己負担で借りたり買ったりできます
- 用具選びで大切なのは「カタログだけで決めない」「必ず試す」「ご本人の意見を聞く」の3つです
- 体の状態は変わります。半年に1回は見直しをしましょう
- 迷ったときはケアマネジャーや作業療法士に相談してください
正しく選んだ福祉用具は、ご本人の安全と自信を守り、ご家族の介護負担も軽くしてくれます。
- 家の中の寸法を測っておきましょう:廊下の幅、ドアの幅、浴室の広さなどをメモしておくと、用具選びのときにスムーズです
- 「困っている場面リスト」を作ってみましょう:ご本人が日常生活のどの場面で困っているかをリストにして、ケアマネジャーや作業療法士に見せると、的確なアドバイスがもらえます
- 福祉用具のお試しを活用しましょう:レンタル業者では試用期間を設けている場合があります。遠慮なく「試してみたい」と伝えてください