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成年後見制度とは?── 認知症の家族を守るために知っておきたいこと

認知症が進んだ家族の財産管理や契約を守るための成年後見制度について、仕組み、手続き、費用をわかりやすく解説します。

📅 2026年4月10日 更新読了目安 24分

この記事のポイント

  • 成年後見制度は、判断能力が不十分な方の財産管理や契約行為を法的に守る制度です
  • 法定後見には後見・保佐・補助の3類型があり、本人の判断能力に応じて家庭裁判所が決定します
  • 任意後見制度を使えば、判断能力があるうちに自分で後見人を選んでおくことができます
  • 申立てから後見開始までおおむね2〜4か月かかるため、早めの準備が大切です
  • 作業療法士は生活能力の評価や意思決定支援を通じて、制度活用を裏側からサポートします

はじめに──認知症が進むと「契約」や「お金」の問題が出てくる

認知症が進むと、お金の管理や契約に関わる困りごとが増えてきます。

  • 同じものを何度も買ってしまう
  • 訪問販売で不要なものを契約してしまう
  • 預金の引き出しや手続きがひとりでできなくなる
  • 介護サービスの契約をしたいのに、ご本人の判断能力が不足していて進められない

こうした場面でご本人の権利と財産を法的に守るのが「成年後見制度」です。この記事では、制度の基本と手続きの流れをやさしく解説します。

成年後見制度とは

成年後見制度は、認知症や障害などで判断能力が不十分になった方を法的に守る制度です。

主に2つのことを支援します。

財産管理:預貯金の管理、不動産の手続き、保険の管理など

生活の契約:介護サービスの契約、施設入所の手続きなど

制度は「法定後見」(判断力が低下した後に裁判所が後見人を選ぶ)と「任意後見」(元気なうちに自分で後見人を決めておく)の2種類があります。

法定後見の3類型──後見・保佐・補助の違い

後見・保佐・補助の違いは?

ご本人の判断能力の程度に応じて、3つの段階に分かれます。

後見:判断能力がほとんどない重度の方が対象。後見人がほぼすべての契約を代行します。

保佐:判断能力が大きく低下した中等度の方が対象。重要な契約には保佐人の同意が必要です。

補助:判断能力がやや不十分な軽度の方が対象。特定の行為のみ補助人が支援します。

どの類型になるかは、医師の診断書をもとに家庭裁判所が決めます。ご家族が判断する必要はありませんので安心してください。

任意後見制度との違い

「任意後見」とは?

任意後見は、ご本人の判断力がしっかりしているうちに、将来の後見人を自分で決めておく制度です。公証役場で契約書を作成します。

認知症の初期段階であれば、まだ任意後見の契約が可能な場合があります。「まだ大丈夫」と思えるうちが、検討するよいタイミングです。

申立ての流れ

手続きの流れは?

1. 相談する地域包括支援センターや家庭裁判所に相談します。

2. 書類を準備する:医師の診断書、財産目録、申立書などを揃えます。

3. 家庭裁判所に申立てる:ご本人の住所地の家庭裁判所に書類を提出します。ご本人、配偶者、四親等内の親族が申立てできます。

4. 審理を受ける:裁判所の調査官が事情を聞き取ります。

5. 後見人が決まる:家庭裁判所が後見人を選任し、後見が開始されます。

申立てから開始まで2〜4か月かかります。困りごとが出てきたら、早めに相談を始めることをおすすめします。

費用の目安

費用はどのくらいかかるの?

申立て時にかかる費用は、数千円〜数万円程度(診断書代含む)です。専門家に手続きを依頼する場合は10〜20万円程度が追加されます。

後見人への報酬は月額2〜6万円程度が目安で、後見が続く限り発生します。

経済的に難しい場合は、法テラスの立替制度や市区町村の助成が使える場合があります。

制度の課題と注意点

気をつけたいポイントは?

一度始めると原則やめられない:後見が開始されると、ご本人の判断能力が回復しない限り続きます。慎重に検討しましょう。

費用が継続的にかかる:後見人への報酬は毎月発生します。長期間になると大きな金額になります。

ご本人の自由が制限される面がある:特に「後見」類型では、日用品以外の買い物に制限がかかります。

他の選択肢もある:社会福祉協議会の「日常生活自立支援事業」は、後見制度ほど制限がなく、預貯金の管理などを手伝ってくれます。判断能力の低下が軽い段階では、こちらが適していることもあります。

作業療法士の視点──生活能力の評価と意思決定支援

作業療法士はどう関わるの?

作業療法士は後見人にはなりませんが、ご本人の生活能力を専門的に評価することで制度の利用を裏からサポートします。

「お金の管理がどこまでできるか」「契約書の内容を理解できるか」といった評価は、医師の診断書作成にも役立ちます。

また、認知症があってもご本人の意思を大切にするのが作業療法の考え方です。日々のかかわりの中で見えてくるご本人の好みや価値観は、後見人が支援を行う上で大切な情報になります。

まとめ

ポイント
  • 成年後見制度は、認知症などで判断能力が低下した方の権利と財産を守る制度です
  • どの類型になるかは家庭裁判所が判断します。ご家族が決める必要はありません
  • 任意後見は「まだ大丈夫」なうちに準備しておくのがポイントです
  • 一度始めると原則やめられないので、他の選択肢と比較して慎重に検討しましょう
  • 迷ったら地域包括支援センターにまず相談してください
ご家庭でできること
  • 地域包括支援センターに「成年後見について相談したい」と電話してみましょう:無料で相談でき、地域の支援機関も紹介してもらえます
  • ご家族で「もしも」の話をしておきましょう:まだ判断力があるうちに、将来のお金の管理や希望する暮らしについて話し合っておくと安心です
  • 「日常生活自立支援事業」も調べてみましょう:社会福祉協議会が行うこの事業は、後見制度よりも手軽に預貯金管理のサポートを受けられます

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