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「最近元気がない」は見逃さないで ── フレイル予防で家族にできること

フレイル(虚弱)の3つのサインと、ご家族が自宅でできる予防の工夫を、作業療法士の視点でわかりやすく紹介します。

📅 2026年4月30日 更新読了目安 23分

この記事のポイント

  • フレイルには身体的・精神的・社会的の3つの側面があり、それぞれが相互に影響し合う
  • 「運動しましょう」だけでは続かない――「やりたいこと(作業)」を起点にするとフレイル予防が自然に生活に組み込まれる
  • 作業療法士(OT)は、その人の「したいこと」を一緒に見つけ、介護予防を個別にデザインする専門家
  • 自宅でできる具体的な予防策を、3つの側面ごとに紹介

フレイルとは何か ── 「歳のせい」では片づけられない状態

「最近、お父さん(お母さん)が疲れやすくなった」「出かけるのをおっくうがるようになった」「食欲が落ちた」──こうした変化に気づいたことはありませんか。

フレイルとは、健康な状態と介護が必要な状態の中間にある段階のことです。「歳のせい」と見過ごしがちですが、早めに気づいて対策をすれば元気を取り戻せる可能性があります。

フレイルの3つの側面 ── 身体・精神・社会

3つのサインに気をつけましょう

フレイルには3つの側面があり、それぞれが影響し合っています。

たとえば足腰が弱くなって外出が減ると、人と会わなくなり、意欲も下がる──という悪循環が起きやすくなります。どれか一つでも気になったら、早めに対策を始めることが大切です。

なぜ「運動しましょう」だけでは続かないのか

「運動しましょう」と言うだけでは難しい理由

ご家族に「体を動かしたほうがいいよ」と伝えても、なかなか続かないことがありませんか。

それは、「正しいこと」と「やりたいこと」が一致しないからかもしれません。

大切なのは、ご本人が「やりたい」と思えることを見つけることです。

  • 孫と一緒に散歩に行きたい
  • 好きな料理をまた作りたい
  • 近所のサロンに参加したい

こうした「やりたいこと」があるから体を動かす、という流れをつくると、フレイル予防が自然に生活に組み込まれます。

作業療法士が行うフレイル予防のプロセス

作業療法士はどうやってフレイル予防を手伝ってくれるの?

作業療法士(OT)は、「運動メニューを出す」のではなく、ご本人の「やりたいこと」を一緒に見つけて、それに向けた計画を立てる専門家です。

たとえば「庭の手入れがしたい」という希望があれば、そのために必要な体力や道具、安全に行う方法を一緒に考えてくれます。やりたいことに向かって動くことが、結果的にフレイル予防になるという考え方です。

自宅でできるフレイル予防 ── 3側面へのアプローチ

ご家庭でできるフレイル予防の工夫

体の面 ── 暮らしの中で体を動かす

特別な運動をしなくても、日常生活の中で体を使うことがフレイル予防になります。

  • 料理や掃除を一緒にする: 立ったりしゃがんだりする動作が自然な運動になります
  • 買い物に一緒に歩いて行く: 荷物を持って歩くのは、立派な筋力トレーニングです
  • テレビのCM中に立ち座りをする: 椅子からの立ち座りは足の筋力を維持するのに効果的です

心の面 ── 楽しみや刺激のある毎日を

  • 一緒に料理をする: レシピを考えたり味を調整したりすることが、頭の良い刺激になります
  • 好きな音楽を聴く時間をつくる: 気分転換になり、昔の楽しい記憶がよみがえることもあります
  • 電話やビデオ通話で話す機会をつくる: 会話は脳にとって大切な刺激です

人とのつながりの面 ── 外に出るきっかけをつくる

  • 週に1回以上は外出する機会をつくる: 買い物でも散歩でも目的は何でも大丈夫です
  • 地域のサロンや教室に誘ってみる: お住まいの市区町村で開催されている介護予防教室をチェックしてみましょう
  • 「あなたがいると助かる」と伝える: 役割があると感じることが、外に出る大きな動機になります

「やりたいこと」が見つからないときは

ご本人が「やりたいことがない」と言うときは

無理に「何かやりなさい」と言うのではなく、以前楽しんでいたことを一緒に思い出すことから始めてみてください。

「昔はよく○○してたよね」「今度一緒にやってみない?」と声をかけることで、小さなきっかけが生まれることがあります。

作業療法士に相談すると、ご本人の「やりたいこと」を見つけるお手伝いもしてくれます。

フレイル予防と作業療法の科学的根拠

まとめ ── 介護予防は「したいこと」から始まる

ポイント

フレイル予防で大切なのは、体・心・人とのつながりの3つの面すべてに気を配ることです。

  • 「疲れやすくなった」「出かけなくなった」「意欲がない」はフレイルのサインです
  • 特別な運動よりも、日常生活の中で体を使い続けることが大切です
  • ご本人の「やりたいこと」を見つけて応援することが、最も効果的なフレイル予防になります
  • 気になることがあれば、かかりつけ医や地域包括支援センターに相談してみてください
ご家庭でできること
  • 「一緒に買い物に行こう」「庭の花に水やりしない?」など、自然に体を動かすきっかけを声がけしてみましょう
  • 週に1回は外出する機会をつくりましょう。目的は何でもかまいません
  • ご本人が以前楽しんでいたことを一緒に思い出し、「またやってみない?」と提案してみてください

免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。

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