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患者さんとの最初の会話 ── 「担当の○○です」の後に何を話すか

自己紹介の後が続かない。「若い先生で大丈夫?」と言われたら。患者さんとの信頼構築の第一歩と、先輩のフォロー術を解説します。

📅 2026年3月26日 更新読了目安 6分

新卒OTスタートアップコラム「4月1日までに知っておきたいこと」── 第6回

この記事のポイント

  • 患者さんとの信頼は「最初の5分」で土台が決まります。自己紹介の後に何を話すかが重要です
  • 「若い先生で大丈夫?」は攻撃ではなく不安の表現。受け止め方で関係が変わります
  • 受け入れ側は、新人の最初の担当患者の選定に配慮するだけで、成功体験を作れます

自己紹介の「その後」が勝負

「はじめまして、作業療法士の○○です。本日からリハビリを担当させていただきます」

ここまでは言えます。問題は、その後です。

沈黙が怖くて矢継ぎ早に説明を始めてしまう。あるいは「よろしくお願いします」で会話が終わってしまう。多くの新人が経験する壁です。

大切なのは、自己紹介の後は「話す」のではなく「聴く」ことです。

「今、一番困っていることは何ですか?」「退院後にやりたいことはありますか?」── こうしたオープンクエスチョン(はい/いいえで答えられない質問)を使うと、患者さんの方から話し始めてくれます。

非言語コミュニケーションの力

言葉以上に大切なのが、非言語のメッセージです。

目線の高さを合わせる:ベッド上の患者さんに立ったまま話しかけると、見下ろす形になります。椅子に座る、しゃがむなどして目線を合わせるだけで、患者さんの安心感が大きく変わります。

話すスピードを合わせる:緊張するとつい早口になりがちです。患者さんの話すペースに合わせてゆっくり話すことを意識しましょう。

適度な沈黙を恐れない:患者さんが考えている時間を、沈黙で埋めようとしないでください。待つことも大切なコミュニケーションです。

「若い先生で大丈夫?」と言われたら

新人が最も動揺する一言かもしれません。しかし、この言葉の裏にあるのは攻撃ではなく不安です。

「自分のリハビリは大丈夫だろうか」「ちゃんと回復できるだろうか」── 患者さん自身が不安を抱えている表れです。

このとき、してはいけないのは「大丈夫です!」と即答することです。根拠のない「大丈夫」は信頼を損ないます。

代わりに、こう答えてみてください。

「ご不安にさせてしまい、申し訳ありません。新人ですので至らない点もあるかと思いますが、先輩のサポートを受けながら、○○さんのリハビリに全力で取り組みます。気になることがあれば、いつでもおっしゃってください」

不安を受け止め、正直に伝え、努力を約束する。 この姿勢が、信頼の出発点になります。

最初の治療で意識すること

初回の治療は、技術を見せる場ではありません。関係を築く場です。

意識すべきポイントは3つです。

1. 患者さんの話を最後まで聴く

評価のために質問を連発したくなりますが、まずは患者さんのペースで話してもらうことを優先してください。「こちらの質問」より「あちらの話」を先に聴く姿勢が信頼を生みます。

2. 説明してから触れる

「肩の動きを確認させてください」と必ず一言伝えてから身体に触れるようにしましょう。いきなり触れるのは、信頼関係ができていない段階では不安や不快感を与えます。

3. 小さな約束を守る

「明日また来ますね」と言ったら必ず行く。「次回は○○を確認しますね」と言ったら確認する。小さな約束の積み重ねが、信頼を形にします。

受け入れ側へ── 新人の最初の担当患者選び

新人が初めて担当する患者さんの選定は、教育担当の腕の見せどころです。

理想的なのは、以下のような患者さんです。

新人の最初の担当患者に理想的な条件
  • コミュニケーションが取りやすい方(失語や重度認知症のない方)
  • リハビリに意欲的な方(「若い先生でも頑張ってね」と応援してくれるタイプ)
  • 医学的にリスクが比較的低い方

新人の最初の成功体験は、その後の臨床人生に大きな影響を与えます。「この患者さんが笑ってくれた」「『ありがとう』と言ってもらえた」── そんな体験が、新人のモチベーションの原点になります。

また、初回治療にはバディの先輩が同席し、治療後に「今の良かったよ」「次はこうしてみようか」とフィードバックする時間を設けると効果的です。


前回:リスク管理の超基本次回:多職種の「言語」を知る

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