この記事のポイント
- 骨粗しょう症は自覚症状が少なく、骨折して初めて気づくケースが多い「沈黙の病気」です
- 転倒予防の環境調整(家の中の整理、手すり、照明)が骨折予防の最も効果的な方法です
- 運動・栄養・日光浴の3つの生活習慣を整えることで、骨の健康を維持できます
骨粗しょう症とは
骨粗しょう症は、骨がスカスカになって折れやすくなる病気です。日本では約1,280万人が骨粗しょう症と推定されており、特に閉経後の女性に多くみられます。
骨粗しょう症そのものには痛みがないため、転んで骨が折れて初めて気づく方が多い「沈黙の病気」です。
作業療法士(OT)は、骨折を防ぐための生活環境の調整や、安全な動作の指導をサポートします。
骨折が起きやすい部位
骨粗しょう症で折れやすい部位は、主に4つあります。
- 背骨: 最も多い骨折です。尻もちをついたり、重い物を持ち上げたときに起こります。痛みがなく、気づかないうちに骨がつぶれていることもあります
- 太ももの付け根: 転倒で起こり、手術が必要になることがほとんどです。寝たきりの原因になりやすい骨折です
- 手首: 転んで手をついたときに起こります
- 肩の付近: 転んで肩を打ったときに起こります
一度骨折すると、次の骨折が起きるリスクが2〜4倍に高まるといわれています。最初の骨折を防ぐことがとても大切です。
転倒予防の環境調整
骨粗しょう症の骨折は、多くが転倒がきっかけです。家の中の環境を整えることが、骨折予防の最も効果的な方法です。
家の中の見直しポイント
- 床: 滑りやすいマットを撤去するか固定する。電気コードや散らかった物を片づける
- 照明: 廊下やトイレの動線に足元灯をつける(夜間のトイレが安全になります)
- 手すり: 階段、トイレ、お風呂、玄関に設置する
- 段差: 敷居の段差をなくす、玄関にステップ台を置く
- お風呂: すべり止めマットを敷く、シャワーチェアを使う
- 寝室: 布団からベッドに変えると、夜中に起き上がるときの転倒リスクが減ります
スリッパは脱げやすく、つまずきや滑りの原因になります。かかとのある室内履きに変えるだけで、転倒リスクがぐっと下がります。
外出時の注意
- 雨の日は路面が滑りやすいので注意しましょう
- 両手が空くリュックやショルダーバッグを使うと安全です
- 杖があると安心です。「まだ杖は早い」と思わず、転倒予防のために活用してください
骨に良い生活習慣
運動
骨は、体重がかかる刺激を受けることで強くなります。毎日の生活に取り入れやすい運動を紹介します。
- ウォーキング: 1日30分くらい、週3回以上を目安に
- 片脚立ち: 壁やテーブルに手をつき、左右各1分間。バランス力がつきます
- かかと落とし: つま先立ちをしてからかかとをストンと落とします。骨に良い刺激が伝わります
- スクワット: 壁に手をついて、無理のない範囲でゆっくり行います
テレビを見ながら片脚立ち、歯磨きしながらかかと落とし。「ながら運動」なら忘れにくく続けやすいです。完璧にやる必要はありません。できる日にできることを、少しずつ続けましょう。
栄養
骨を強くするために大切な栄養素があります。
- カルシウム: 牛乳、ヨーグルト、小魚、豆腐、小松菜など。1日にコップ2杯の牛乳に相当する量が目安です
- ビタミンD: カルシウムの吸収を助けます。鮭、サンマ、きのこ類に多く含まれます
- ビタミンK: 骨にカルシウムを届ける役割があります。納豆が最も効率的な食品です
- タンパク質: 骨の土台をつくる材料です。肉、魚、卵、大豆製品から摂りましょう
反対に、塩分やカフェインの摂り過ぎはカルシウムの排出を増やしてしまうので注意が必要です。
日光浴
ビタミンDは、日光を浴びることで体の中でつくられます。骨を強くするために、適度な日光浴が大切です。
- 夏: 日陰で30分程度
- 冬: 日なたで1時間程度
- 顔と手が日光に当たれば十分です
毎日の散歩は、日光浴と運動を同時にできる最も手軽な骨粗しょう症対策です。天気のよい日に15〜30分歩くだけで、骨の健康維持に効果があります。
薬物療法と日常管理
骨粗しょう症と診断されたら、お薬の治療が始まることがあります。
- 骨を減らさないお薬: 飲み薬が多く、飲み方にルール(朝起きてすぐ水で飲む、30分は横にならないなど)があるものもあります
- 注射のお薬: 6か月に1回の注射や、毎日の自己注射などがあります
お薬は飲み忘れると効果が十分に出ません。お薬カレンダーやピルケースを使って、飲み忘れを防ぎましょう。
ヒント
骨粗しょう症のお薬は、効果を実感しにくいため途中でやめてしまう方が多いのですが、骨折を防ぐためには継続がとても大切です。気になることがあれば、やめる前に主治医に相談してください。
免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。個別の症状や治療については、必ず医師やかかりつけの作業療法士等の専門家にご相談ください。