この記事のポイント
- 介護保険で使える福祉用具は、車椅子・介護ベッドなどレンタル(貸与)13種目とポータブルトイレなど購入(販売)6種目で、自己負担1〜3割・レンタルなら月数百円〜3,000円程度から利用できます(出典: 厚生労働省)
- 購入は年間上限10万円(自己負担1〜3割)で、2024年4月からは固定用スロープ・歩行器(歩行車を除く)・単点杖・多点杖で貸与と販売を選べる選択制も導入されています
- 要支援1・2および要介護1の方は一部の種目に利用制限がありますが、例外規定もあります
- 手続きはケアマネジャーに相談するところから始まり、福祉用具専門相談員が自宅に来て提案してくれます
はじめに ── 福祉用具は「借りる」が基本
介護保険における福祉用具サービスは、大きく福祉用具貸与(レンタル)と特定福祉用具販売(購入)の2つに分かれます。本記事では、本人・家族が制度を正しく理解し、適切な用具を選ぶための全種目解説と手続きガイドを提供します。
OTとして福祉用具の相談を受ける際、「そもそもどんな種目があるのか」「費用はどのくらいかかるのか」を正確に伝えられることは信頼構築の基本です。この記事は、利用者・家族への説明資料としても活用できる構成を目指しています。
ヒント
この記事は制度と種目の全体像を扱います。各種目の臨床的な選定ポイント(評価に基づく適合判断、フィッティングの要点)については、姉妹記事の福祉用具の種類と選定のポイントを整理した記事で詳しく解説しています。
介護が必要になったとき、福祉用具を使えば日常生活がぐっと安全になります。介護保険を使えば、こうした用具を少ない自己負担で借りたり買ったりできることをご存知ですか。
「どんなものが借りられるの?」「いくらくらいかかるの?」「どうやって手続きするの?」──この記事では、こうした疑問にすべてお答えします。福祉用具以外も含めた介護保険サービス全体の仕組みは介護保険で使えるサービス一覧と申請の流れでご覧いただけます。
ヒント
福祉用具のレンタルは、体の状態が変わったら別の用具に交換できるのが大きなメリットです。買い切りと違って、「体に合わなくなった」という心配がありません。
レンタルと購入の基本ルール
レンタル(福祉用具貸与)の仕組み
福祉用具貸与は、指定事業者から月額制で用具を借りるサービスです。
自己負担
レンタル価格の1割(所得に応じて2割または3割)。月額数百円から数千円が一般的
対象種目
13種目。車椅子、介護ベッド、歩行器、手すりなどの比較的大型・高額な用具が中心
交換・変更
体の状態や生活環境が変わったら、同じ種目内で別の製品に交換できる
メンテナンス
レンタル事業者が定期的に点検・清掃・修理を行う。追加費用は不要
価格の上限
2018年10月から商品ごとの全国平均貸与価格の公表と貸与価格の上限設定が行われており、不当に高い価格は制限される
購入(特定福祉用具販売)の仕組み
自己負担
購入価格の1割(所得に応じて2割または3割)。残りは介護保険から償還払いまたは受領委任払い
年間上限
同一年度で10万円まで(4月1日〜翌年3月31日)。自己負担は最大1万円(1割負担の場合)
対象種目
6種目。ポータブルトイレ、シャワーチェア、排泄予測支援機器など、衛生面等からレンタルに向かないもの
指定事業者
都道府県から指定を受けた事業者からの購入が条件。ネット通販等は原則対象外
償還払い
いったん全額を支払い、後から保険給付分(7〜9割)が口座に振り込まれる方式が一般的
「借りる」と「買う」、2つの仕組み
レンタル(借りる)- 月額制で福祉用具を借りられます
- 自己負担は月額の1割(所得に応じて2〜3割)
- 体に合わなくなったら別の用具に交換できます
- 点検・修理は業者がしてくれます(追加費用なし)
- ポータブルトイレやシャワーチェアなど、衛生面からレンタルに向かないものが対象です
- 年間10万円までが介護保険の対象になります
- 自己負担は購入価格の1割(1割負担の方の場合、年間最大1万円)
ヒント
まずは全額を支払い、あとから保険の負担分(7〜9割)が戻ってくる仕組みが一般的です。自治体によっては、最初から自己負担分だけ払えばよい方式もありますので、ケアマネジャーに確認しましょう。
レンタルできる13種目 ── 種目別ガイド
介護保険でレンタルできる福祉用具は以下の13種目です(出典: 厚生労働省「福祉用具・住宅改修」)。種目ごとに、対象製品・レンタル費用の目安(1割負担)・利用条件を整理しています。
移動・歩行に関する種目
- 自走式車椅子 — 本人がハンドリムを回して操作するタイプ。屋内外の移動に使用。レンタル月額の目安: 300〜700円(1割負担)
- 介助式車椅子 — 介助者が後ろから押して操作するタイプ。自走が困難な方に。レンタル月額の目安: 200〜500円(1割負担)
- 電動車椅子 — ジョイスティック等で操作。長距離の移動や屋外活動に。レンタル月額の目安: 1,000〜3,000円(1割負担)
- ティルト・リクライニング車椅子 — 座面の角度や背もたれを調整できる。座位保持が困難な方に。レンタル月額の目安: 500〜1,500円(1割負担)
- クッション — 座面に敷いて圧力を分散させる。褥瘡予防と座位の安定に必須。月額の目安: 100〜500円
- 電動補助装置 — 手動車椅子に後付けする電動ユニット。坂道や長距離移動を補助。月額の目安: 500〜1,500円
- テーブル — 車椅子に取り付けるテーブル。食事や作業に使用。月額の目安: 50〜200円
- 四輪歩行車(シルバーカー型) — 4つの車輪付き。ブレーキ・座面付きで屋外歩行に。月額の目安: 200〜500円
- ピックアップウォーカー — 持ち上げて前に置く固定型。室内での安定した歩行に。月額の目安: 100〜300円
- 四脚歩行器(交互型) — 左右交互に前に出すタイプ。持ち上げ力が弱い方に。月額の目安: 100〜300円
- 歩行車(馬蹄型) — 体を囲むフレーム型。バランスが不安定な方の室内歩行に。月額の目安: 300〜700円
- 多点杖(四点杖) — 先端が4つに分かれ接地面が広い。T字杖より安定性が高い。月額の目安: 50〜200円
- ロフストランドクラッチ — 前腕を支えるカフ付きの杖。握力が弱い方や長時間使用に。月額の目安: 50〜200円
- 松葉杖 — 脇の下で体を支えるタイプ。下肢の免荷が必要な方に。月額の目安: 50〜150円
注意
一般的なT字杖(1本杖)は介護保険のレンタル対象外です。多点杖やロフストランドクラッチなど、特殊な構造を持つ杖のみが対象となります。
- 携帯用スロープ — 折りたたみ式で持ち運び可能。外出先の段差にも対応。月額の目安: 200〜500円
- 据え置き型スロープ — 玄関や室内の段差に設置。工事不要で取り外し可能なもの。月額の目安: 200〜600円
ベッド・寝具に関する種目
- 背上げ機能付き — 電動で背もたれが上がる。起き上がり動作の補助に。月額の目安: 500〜1,000円
- 背上げ+脚上げ機能付き — 背もたれに加え、脚部も上げられる。むくみ対策にも。月額の目安: 600〜1,200円
- 3モーター(背上げ+脚上げ+高さ調整) — ベッド全体の高さも変えられる。介助者の腰痛予防に重要。月額の目安: 800〜1,500円
- サイドレール — ベッドの側面に取り付ける柵。転落防止に。月額の目安: 50〜100円
- 介助バー(ベッド用手すり) — 起き上がりや立ち上がりのときに握る手すり。月額の目安: 100〜300円
- マットレス — 介護ベッド用の専用マットレス。体圧分散機能付きもあり。月額の目安: 200〜800円
- ベッド用テーブル — ベッド上で食事や作業をするためのテーブル。月額の目安: 50〜200円
- エアマットレス — 空気圧を自動で変化させ、体圧を分散する。重度の方に。月額の目安: 300〜1,000円
- ウレタンフォームマットレス — 体圧分散性の高い素材。軽度〜中等度のリスクがある方に。月額の目安: 200〜500円
- ウォーターマットレス — 水の浮力で体圧を分散する。月額の目安: 300〜800円
- 体位変換用クッション — 体の下に挟んで横向きの姿勢を保持する。月額の目安: 50〜200円
- スライディングシート — 体の下に敷いて滑らせることで体位変換を楽にする。月額の目安: 50〜150円
- エアバッグ式体位変換器 — 空気の膨張で自動的に体位を変える。介護者の負担を大幅に軽減。月額の目安: 200〜600円
安全・見守り・排泄に関する種目
- 据え置き型手すり — 工事不要で床に置くだけ。トイレ横や廊下に。月額の目安: 200〜500円
- 突っ張り型手すり — 天井と床の間に突っ張って固定する。玄関や廊下に。月額の目安: 200〜500円
- 便器用手すり(据え置き型) — 便器の両側に設置する手すり。立ち座りの補助に。月額の目安: 300〜800円
注意
壁にネジ止めする手すりは「住宅改修」の対象であり、福祉用具レンタルとは別の制度です。工事不要で取り外しができるものがレンタルの対象です。
- 離床センサー — ベッドからの離床を検知して知らせる。夜間の転倒予防に。月額の目安: 300〜800円
- 赤外線センサー — 通路に設置し、通過を検知。徘徊の早期発見に。月額の目安: 300〜800円
- GPS端末 — 位置情報で外出先を把握できる。屋外での徘徊対策に。月額の目安: 500〜1,200円
- 床走行式リフト — 床の上を移動できるリフト。ベッド⇔車椅子の移乗に。月額の目安: 500〜2,000円
- 固定式リフト(天井走行型) — 天井レールに沿って移動。設置工事が必要だが安定性が高い。月額の目安: 1,000〜3,000円
- 立ち上がり補助リフト — 椅子型で座面が上昇し立ち上がりを補助する。月額の目安: 500〜1,500円
- 入浴用リフト — 浴槽への出入りを補助するリフト。月額の目安: 500〜2,000円
- 尿吸引タイプ — 尿を自動的に吸引・処理する。要介護度にかかわらずレンタル可能(尿のみの場合)。月額の目安: 1,000〜2,500円
- 尿・便吸引タイプ — 尿と便の両方を処理する。要介護4以上が原則対象。月額の目安: 1,500〜3,000円
ここからは、介護保険で借りられる13種目の福祉用具を、種類ごとにわかりやすく紹介します。月額の目安は1割負担の場合の金額です。
移動・歩行を助ける用具
車椅子(月額の目安: 200〜3,000円)
ご本人が手で車輪を回す「自走式」、ご家族が押す「介助式」、ジョイスティックで操作する「電動式」があります。体の状態や使う場所に合わせて選べます。
車椅子付属品(月額の目安: 50〜500円)
座面に敷くクッション(お尻の痛みや床ずれ防止に大切です)、テーブルなどがあります。
歩行器(月額の目安: 100〜700円)
4つの車輪がついた「歩行車」は、ブレーキと座面付きで屋外の散歩にも使えます。室内用には持ち上げて前に置く「固定型」もあります。
歩行補助つえ(月額の目安: 50〜200円)
先端が4つに分かれた「多点杖」や、前腕を支えるカフ付きの「ロフストランドクラッチ」が対象です。
注意
一般的なT字の杖(1本杖)は、介護保険のレンタル対象に含まれません。市販品として2,000〜5,000円程度で購入できます。
スロープ(月額の目安: 200〜600円)
玄関や室内の段差に置いて、車椅子や歩行器での移動をスムーズにします。折りたたみ式なら外出先でも使えます。
ベッド・寝具に関する用具
特殊寝台(介護ベッド)(月額の目安: 500〜1,500円)
電動で背もたれが上がるので、起き上がりが楽になります。ベッド全体の高さが変わるタイプなら、介助する方の腰痛予防にもなります。
特殊寝台付属品(月額の目安: 50〜800円)
転落防止の柵(サイドレール)、起き上がるときに握る手すり(介助バー)、体圧分散マットレスなどがあります。
床ずれ防止用具(月額の目安: 200〜1,000円)
寝たきりの時間が長い方の床ずれを防ぐためのマットレスです。空気の力で体への圧力を分散させるタイプが一般的です。
体位変換器(月額の目安: 50〜600円)
ご本人の体の向きを変える(寝返りをさせる)ための道具です。介助する方の体力的な負担を減らせます。
安全・見守り・その他
手すり(月額の目安: 200〜800円)
工事不要で置くだけの手すりです。トイレの横、廊下、玄関などに設置できます。
ヒント
壁にネジで取り付ける手すりは「住宅改修」という別の制度で設置できます(上限20万円)。詳しくは介護保険の住宅改修ガイドをご覧のうえ、ケアマネジャーに相談してみてください。
認知症老人徘徊感知機器(月額の目安: 300〜1,200円)
ベッドから離れたことを知らせるセンサーや、外出先を把握できるGPS端末があります。夜間の見守りに役立ちます。
移動用リフト(月額の目安: 500〜3,000円)
ベッドから車椅子への乗り移りや、浴槽への出入りを助けてくれる装置です。介助する方の腰への負担を大きく減らせます。
自動排泄処理装置(月額の目安: 1,000〜3,000円)
尿を自動的に吸い取って処理する装置です。夜間のおむつ交換の負担を減らすことができます。
購入できる6種目 ── 種目別ガイド
衛生面の理由からレンタルに馴染まない用具は、特定福祉用具販売として購入の対象となります。年間10万円を上限として、1〜3割の自己負担で購入できます。2022年4月に排泄予測支援機器が追加され、現在は6種目です(出典: 令和3年厚生労働省告示第80号、2022年4月施行)。さらに2024年4月からは、固定用スロープ・歩行器(歩行車を除く)・単点杖(松葉づえを除く)・多点杖で貸与と販売のどちらかを選べる選択制が導入されました(出典: 厚生労働省 社会保障審議会介護給付費分科会資料, 2023年)。
- ポータブルトイレ — 居室に置ける移動式トイレ。夜間のトイレ移動が不安な方に。購入価格の目安: 1万〜5万円(自己負担1,000〜5,000円)
- 補高便座 — 既存の便器の上に載せて座面を高くする。立ち座りが楽になる。購入価格の目安: 5,000〜2万円(自己負担500〜2,000円)
- 立ち上がり補助便座 — ばね式やアーム付きで立ち上がりをサポート。購入価格の目安: 1万〜3万円(自己負担1,000〜3,000円)
- レシーバー・チューブ — 尿や便を受ける部分と吸引チューブ。定期的な交換が必要な消耗品
- タンク — 排泄物を貯留するタンク。購入価格の目安: 5,000〜2万円
- 膀胱内尿量センサー — 超音波で膀胱内の尿量を測定し、排泄のタイミングを通知する機器。2022年4月から新たに対象種目に追加。購入価格の目安: 7万〜15万円(自己負担7,000〜1万5,000円)
ヒント
排泄予測支援機器は2022年4月から特定福祉用具販売の対象に新しく追加された種目です。比較的高額ですが、自立排泄の維持に大きく貢献する機器として注目されています。医師や看護師の所見が必要となる場合があります。
- シャワーチェア — 入浴時に座る椅子。背もたれ・肘掛け付きなど種類が豊富。購入価格の目安: 5,000〜3万円(自己負担500〜3,000円)
- 浴槽用手すり — 浴槽のふちに挟んで固定する手すり。浴槽のまたぎ動作を補助。購入価格の目安: 5,000〜2万円(自己負担500〜2,000円)
- 浴槽内椅子(浴槽台) — 浴槽の中に置く台。浴槽が深い場合に座面を高くする。購入価格の目安: 5,000〜2万円
- すのこ — 浴室の床に敷いて段差を解消する。滑り止め効果も。購入価格の目安: 5,000〜3万円
- 入浴用介助ベルト — 介助者が体を支えるためのベルト。安全な入浴介助に。購入価格の目安: 3,000〜1万円
- 空気式簡易浴槽 — 空気を入れて膨らませるタイプ。ベッドサイドでの入浴が可能。購入価格の目安: 2万〜5万円(自己負担2,000〜5,000円)
- 折りたたみ式簡易浴槽 — 折りたたんで収納可能。居室内での入浴に。購入価格の目安: 3万〜8万円
このほか、福祉用具貸与で借りている移動用リフトのつり具部分(スリングシート等)も、身体に直接触れるため販売種目とされています。
入浴補助用具は、6種目の中でも最も利用頻度が高い種目です。特にシャワーチェアは、1台あるだけで入浴の安全性が大幅に向上します。
レンタルとは別に、介護保険を使って購入できる用具が6種目あります。衛生上、他の人と使い回しにくいものが対象です。年間10万円までが保険の対象で、自己負担は1割です。
トイレ関連
腰掛便座(自己負担の目安: 500〜5,000円)
部屋に置ける「ポータブルトイレ」や、今の便座を高くする「補高便座」があります。夜中にトイレまで歩くのが不安な方にポータブルトイレは特におすすめです。
排泄予測支援機器(自己負担の目安: 7,000〜15,000円)
おなかに当てるセンサーで膀胱の尿の量を測り、「そろそろトイレですよ」と教えてくれる機器です。2022年から新しく対象に加わりました。
自動排泄処理装置の交換部品(自己負担の目安: 500〜2,000円)
レンタルしている自動排泄処理装置のチューブやタンクなどの消耗品です。
入浴関連
入浴補助用具(自己負担の目安: 500〜3,000円)
お風呂で座る椅子(シャワーチェア)、浴槽のふちにつける手すり、浴槽の中に置く台(浴槽台)、床に敷くすのこなどがあります。
ヒント
シャワーチェアはぜひ検討してください。1つあるだけで、入浴中の転倒リスクがぐっと下がります。背もたれや肘掛け付きのものを選ぶと、より安全です。自己負担は500〜3,000円程度です。
簡易浴槽(自己負担の目安: 2,000〜8,000円)
空気を入れて膨らませるタイプの浴槽です。浴室まで移動するのが難しい方が、ベッドのそばで入浴するために使います。
その他
移動用リフトのつり具部分レンタルできる移動用リフトのうち、体に直接触れる「つり具」の部分だけは、衛生面の理由から購入の対象になっています。
介護度による利用制限(軽度者制限)
福祉用具貸与には、介護度に応じた利用制限(いわゆる軽度者制限)があります。要支援1・2および要介護1の方は、以下の種目が原則としてレンタルできません(出典: 厚生労働省「福祉用具・住宅改修」)。
- 車椅子および車椅子付属品
- 特殊寝台(介護ベッド)および特殊寝台付属品
- 床ずれ防止用具
- 体位変換器
- 認知症老人徘徊感知機器
- 移動用リフト(つり具部分を除く)
- 自動排泄処理装置(尿と便の両方を処理するタイプ)
- 手すり(据え置き型)
- スロープ
- 歩行器
- 歩行補助つえ
- 自動排泄処理装置(尿のみのタイプ)
例外的給付の要件
軽度者でも、以下のいずれかに該当する場合は例外的にレンタルが認められます。
- 疾病その他の原因により、状態が変動しやすい(例: パーキンソン病によるon-off現象)
- 疾病その他の原因により、日によって状態が大きく変わる(例: 関節リウマチの急性増悪期)
- 疾病その他の原因により、急速に状態の悪化が見込まれる(例: がんの末期)
- 認定調査の基本調査で特定の状態像に該当する(例: 「寝返り」が「できない」等)
例外的給付の申請には、サービス担当者会議での検討とケアマネジャーによる理由書の作成が必要です。主治医の意見書が求められる場合もあります。
すべての用具が借りられるわけではありません
要支援1・2、要介護1の方は、以下の用具が原則として借りられません。
- 車椅子
- 介護ベッド(特殊寝台)
- 床ずれ防止用具
- 体位変換器
- 認知症徘徊感知機器
- 移動用リフト
一方、以下の用具は介護度に関係なくどなたでも借りられます。
- 手すり(据え置き型)
- スロープ
- 歩行器
- 歩行補助つえ
ヒント
原則として借りられない用具でも、お体の状態によっては例外的に借りられる場合があります。たとえば、病気の影響で日によって体の状態が大きく変わる方や、急速に悪化が見込まれる方などです。「うちの場合はどうだろう」と思ったら、遠慮なくケアマネジャーに相談してください。
手続きの流れ ── レンタルと購入
レンタルの手続き
1. ケアマネジャーに相談
- 1福祉用具の利用希望をケアマネジャーに伝える
- 2ケアマネジャーがケアプランに福祉用具貸与を位置づける
- 3居宅サービス計画に福祉用具の目標と必要性を記載する
2. 福祉用具専門相談員の訪問
- 4指定福祉用具貸与事業者の専門相談員が自宅を訪問する
- 5利用者の身体状況・住環境を確認する
- 6「福祉用具サービス計画」を作成する
- 7適切な用具の候補を提案する
3. 用具の選定・試用
- 8利用者・家族が候補の中から用具を選ぶ
- 9実際に試して、サイズや使い勝手を確認する
- 10必要に応じて調整や別の用具への変更を行う
4. 契約・納品
- 11レンタル契約を結ぶ(重要事項説明書の交付)
- 12用具を自宅に搬入・設置する
- 13使い方の説明を受ける
5. モニタリング
- 14定期的(少なくとも年1回)に福祉用具専門相談員が訪問する
- 15用具の適合状況を確認し、必要に応じて交換・調整する
- 16サービス計画を見直す
購入の手続き
1. ケアマネジャーに相談
- 1購入したい用具についてケアマネジャーに相談する
- 2ケアプランに特定福祉用具販売を位置づける
2. 指定事業者での購入
- 3都道府県指定の福祉用具販売事業者から購入する
- 4福祉用具専門相談員から用具の選定助言を受ける
- 5全額を支払い、領収書と用具のカタログを受け取る
3. 保険給付の申請
- 6市区町村の介護保険窓口に支給申請書を提出する
- 7添付書類: 領収書、用具のパンフレット、福祉用具サービス計画書の写し
- 8審査後、保険給付分(7〜9割)が指定口座に振り込まれる
注意
購入は指定事業者からの購入が条件です。一般の量販店やインターネット通販での購入は、原則として介護保険の給付対象になりません。ただし、自治体によっては柔軟な対応をしている場合もあるため、事前に確認することを推奨します。
レンタルの手続き(5ステップ)
ステップ1: ケアマネジャーに相談する「こんな用具がほしい」「こんなことに困っている」と伝えるだけで大丈夫です。ケアマネジャーがケアプランに組み込んでくれます。
ステップ2: 専門の相談員が家に来てくれる福祉用具専門相談員がご自宅を訪問し、ご本人の体の状態やお家の環境を見て、合う用具を提案してくれます。
ステップ3: 実物を試す提案された用具を実際に試します。「ちょっと使いにくい」「別のがいい」と感じたら遠慮なく伝えてください。
ステップ4: 契約して届けてもらう決まったら契約書にサインし、用具を届けてもらいます。使い方の説明も受けられます。
ステップ5: 定期的に見直してもらえる年に1回以上、相談員が訪問して「今の用具で問題ないか」を確認してくれます。合わなくなったら交換も可能です。
購入の手続き(3ステップ)
ステップ1: ケアマネジャーに「シャワーチェアがほしい」など、相談します。
ステップ2: 指定を受けた事業者で用具を購入し、いったん全額を支払います。領収書とカタログを必ずもらいましょう。
ステップ3: 市区町村の窓口に申請すると、保険給付分(7〜9割)が後から振り込まれます。
注意
一般のお店やネット通販で買った場合は、原則として介護保険の対象になりません。必ず、指定を受けた事業者で購入してください。わからない場合はケアマネジャーに紹介してもらいましょう。
費用のシミュレーション ── 実際にいくらかかる?
利用者・家族への説明に活用できるよう、典型的な利用パターンでの費用シミュレーションを示します。
パターン1: 要介護2の方(歩行不安定、在宅生活)
| 種目 | 製品例 | レンタル月額(税込) | 1割負担 |
|---|---|---|---|
| 歩行器 | 四輪歩行車 | 3,500円 | 350円 |
| 手すり | 据え置き型(トイレ横) | 4,000円 | 400円 |
| 特殊寝台 | 2モーター | 8,000円 | 800円 |
| 特殊寝台付属品 | サイドレール+介助バー | 1,500円 | 150円 |
| 合計 | 17,000円 | 1,700円/月 |
別途、シャワーチェアを購入する場合: 15,000円 → 自己負担 1,500円(1回のみ)
パターン2: 要介護4の方(ほぼ寝たきり、在宅介護)
| 種目 | 製品例 | レンタル月額(税込) | 1割負担 |
|---|---|---|---|
| 特殊寝台 | 3モーター | 12,000円 | 1,200円 |
| 特殊寝台付属品 | マットレス+サイドレール+介助バー | 5,000円 | 500円 |
| 床ずれ防止用具 | エアマットレス | 8,000円 | 800円 |
| 体位変換器 | スライディングシート | 1,000円 | 100円 |
| 車椅子 | リクライニング車椅子 | 10,000円 | 1,000円 |
| 移動用リフト | 床走行式 | 15,000円 | 1,500円 |
| 合計 | 51,000円 | 5,100円/月 |
これらの金額はあくまで目安であり、製品やメーカー、地域によって異なります。同一種目でも複数の事業者から見積もりを取ることが可能です。
「実際にいくらかかるの?」── 2つの例でご紹介
例1: お家で杖を使って歩いている方(要介護2)| 借りるもの | 月々の自己負担(目安) |
|---|---|
| 歩行器(外出用) | 約350円 |
| 手すり(トイレ横) | 約400円 |
| 介護ベッド | 約800円 |
| ベッドの手すり+柵 | 約150円 |
| 月の合計 | 約1,700円 |
シャワーチェアを買う場合は、別途1,500円程度(1回のみ)です。
例2: ほとんどベッドで過ごされている方(要介護4)| 借りるもの | 月々の自己負担(目安) |
|---|---|
| 介護ベッド+付属品 | 約1,700円 |
| 床ずれ防止マットレス | 約800円 |
| 体位変換器 | 約100円 |
| 車椅子 | 約1,000円 |
| 移動用リフト | 約1,500円 |
| 月の合計 | 約5,100円 |
ヒント
金額は製品や業者によって異なります。複数の事業者に見積もりを取ることもできますので、ケアマネジャーに相談してみてください。
よくある疑問 Q&A
利用者・家族から頻繁に受ける質問を整理します。
よくある疑問にお答えします
Q: 借りている用具が壊れたら、お金がかかりますか?普通に使っていて壊れた場合は、無料で修理・交換してもらえます。追加の費用はかかりません。
Q: 入院したら、借りている用具はどうなりますか?入院中は介護保険サービスが使えないため、原則としてレンタルは一時中断になります。退院の見通しが立っているなら、事業者に相談してみてください。
Q: レンタルと購入は同時にできますか?はい、できます。レンタル(月額)と購入(年間10万円まで)はそれぞれ別の枠です。たとえば、介護ベッドを借りながらシャワーチェアを買う、というのはよくあるパターンです。
Q: 買った後に体に合わなかったらどうなりますか?購入した用具の返品は難しいため、買う前に必ず試してください。福祉用具専門相談員に「試してから決めたい」と伝えれば、対応してもらえます。
Q: 複数の業者を比べることはできますか?はい、できます。同じ種目でも業者によってレンタル価格や取扱い製品が異なります。ケアマネジャーに「ほかの業者の見積もりも見たい」と相談してみてください。
まとめ
- 介護保険の福祉用具サービスはレンタル13種目と購入6種目で構成されており、利用者の費用負担は1〜3割で済みます
- レンタルは月額数百円〜数千円の負担で利用でき、体の状態が変わったら交換できる柔軟性があります
- 購入は年間10万円が上限で、ポータブルトイレやシャワーチェアなど衛生用品が中心です
- 要支援1・2、要介護1には軽度者制限がありますが、疾病等による例外規定もあります
- 利用の入り口はケアマネジャーへの相談。福祉用具専門相談員が自宅訪問で最適な用具を提案してくれます
- 同一種目でも複数事業者の見積もりを比較でき、適正価格での利用が可能です
福祉用具は介護保険のなかでも利用頻度が高いサービスです。本人・家族が制度を正しく理解し、適切な用具を選べるよう支援することは、OTの重要な役割のひとつです。
- 介護保険を使えば、福祉用具を少ない自己負担で借りたり買ったりできます
- 借りられるのは車椅子・介護ベッド・歩行器など13種目、買えるのはシャワーチェア・ポータブルトイレなど6種目です
- レンタル費用は月々数百円〜数千円。体に合わなくなったら交換もできます
- 手続きの第一歩はケアマネジャーに相談すること。専門の相談員が家まで来て提案してくれます
- 介護度によって借りられない用具もありますが、例外が認められることもありますので、まずは相談を
適切な福祉用具があれば、ご本人の安全と自信が守られ、ご家族の介護負担も軽くなります。「何を選べばいいかわからない」ときこそ、専門家の力を借りてみてください。
- まずはケアマネジャーに電話しましょう:「福祉用具を借りたい」と伝えるだけでOKです。まだケアマネジャーがいない方は、お近くの地域包括支援センターに相談してください
- 家の中の「困りごとリスト」を作ってみましょう:「トイレで立ち上がるのが大変」「お風呂が怖い」など、具体的な場面を書き出しておくと、相談がスムーズです
- 複数の事業者を比べてOK:同じ用具でも業者によって価格や品揃えが違います。「比べたい」と遠慮なく伝えましょう
よくある質問
- 介護保険で福祉用具をレンタルすると月いくらかかりますか?
- 自己負担1割の場合、月数百円から3,000円程度が目安です。たとえば歩行器や手すりは月100〜700円程度、介護ベッド(特殊寝台)は月500〜1,500円程度で借りられます。所得に応じて2割または3割負担になる場合があります。
- 介護保険でレンタルできる福祉用具と購入できる福祉用具の違いは何ですか?
- 車椅子や介護ベッド、歩行器などの大型用具はレンタル(13種目)、ポータブルトイレやシャワーチェアなど衛生面でレンタルに向かないものは購入(6種目)の対象です。購入は年間10万円が上限で、自己負担は1〜3割です。
- 要介護1でも介護ベッドや車椅子は借りられますか?
- 要支援1・2および要介護1の方は、車椅子や介護ベッドなどは原則レンタルできません。ただし、状態が変動しやすい疾病や急速な悪化が見込まれる場合などは例外的に認められることがあるため、ケアマネジャーに相談してください。
- 福祉用具を借りる手続きはどこから始めればいいですか?
- まずケアマネジャーに相談するところから始まります。ケアプランに位置づけられた後、福祉用具専門相談員が自宅を訪問して体の状態や住環境に合う用具を提案し、実物を試してから契約・納品という流れです。
- 福祉用具のレンタルと購入は同時に利用できますか?
- はい、できます。レンタル(月額)と購入(年間上限10万円)はそれぞれ別枠のため、介護ベッドをレンタルしながらシャワーチェアを購入するといった併用は一般的なパターンです。
この記事の執筆者
ひろえもん作業療法士
作業療法士の国家資格を持ち、2012年から作業療法の普及・啓発を目的に当サイトを運営。 臨床経験に基づき、確認できる情報源にあたった上で執筆しています。
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