この記事のポイント
- 依存症は脳の病気であり、「意志が弱い人」がなるものではありません
- 令和6年度の全国調査では、生涯にアルコール依存症が疑われる人は約64万人(95%信頼区間 38.3〜90.5万人)と推計されています。同じ調査で飲酒の問題が強く疑われた人のうち、相談・受診・自助グループのいずれかを経験した人は5%に届きませんでした
- 回復に必要なのは「罰」ではなく「つながり」です
- 作業療法士は、依存症からの回復において「生活を立て直す」専門家として活躍しています
はじめに── このシリーズを振り返って
テレビから始まり、動画配信、スマートフォン、AIと、4回にわたって「依存」について考えてきました。
その中で繰り返しお伝えしてきたことがあります。
依存は、人間の脳が持つ報酬系の仕組みによって、誰にでも起こりえる。これはスマートフォンやAIだけの話ではありません。アルコール、薬物、ギャンブル── 従来から知られている依存症もまた、まったく同じ構造で起きています。
最終回の今回は、これらの「古くからある依存症」について、シリーズで学んできた知識を踏まえながら解説します。そして、依存症からの回復に何が必要なのか、そこで作業療法士がどのような役割を果たしているのかをお伝えします。
怖い話ではありません。「知ること」が「理解すること」につながり、「理解すること」が「支えること」につながる。そんな記事にしたいと思います。
はじめに── 依存症について知ることから
「依存症」と聞くと、どこか遠い世界の話のように感じるかもしれません。しかし、依存症は特別な人だけがなる病気ではありません。
お酒、薬物、ギャンブル── これらの依存症は、脳の仕組みによって誰にでも起こりえるものです。
この記事では、依存症の仕組み、回復に必要なこと、そして家族としてできることをわかりやすくお伝えします。「知ること」が「支えること」の第一歩になります。
アルコール依存症── 最も身近な依存症
数字が示す現実
久里浜医療センターが実施した令和6年度「飲酒と生活習慣に関する調査」(厚生労働省の依存症に関する調査研究事業)では、ICD-10の基準で生涯にアルコール依存症が疑われる人は全国で約64.4万人と推計されました。ただしこれはスクリーニングによる推計であり、診断ではありません。95%信頼区間は38.3〜90.5万人と幅が広く、一つの数字として受け取りすぎないことが大切です。過去1年間にアルコール使用障害が疑われる人は約304.1万人(同 249.6〜358.7万人)と推計されています。
同じ調査で、AUDIT 15点以上(アルコール使用障害が疑われる)と判定された119名に相談・受診の経験を尋ねたところ、95.8%(114名)が「相談窓口への相談・専門機関や医療機関への受診・自助グループへの参加のいずれもしていない」と回答し、「専門機関で治療を受けた」は4.2%(5名)にとどまりました。依存の疑いがある人の大半が、支援につながっていないのが現状です。
「飲みすぎ」と「依存症」のあいだ
「お酒が好き」と「アルコール依存症」のあいだには、明確な一線があるわけではありません。グラデーションのように、少しずつ移行していきます。
このシリーズで学んだ依存の3つの特徴を思い出してください。
コントロールの喪失:「今日は2杯まで」と決めたのに、気づいたら何杯飲んだかわからなくなっている。
優先順位の逆転:仕事の前に飲む。家族との約束よりも飲酒を優先する。健康診断で数値が悪くても、飲み方を変えられない。
問題が起きてもやめられない:肝機能が悪化している。家族関係が壊れかけている。それでも飲み続ける。
ここで大切なのは、本人は「好きで飲んでいる」と思っていることです。しかし実際には、脳の報酬系が変化し、飲まないと不快感や不安が生じる状態── つまり「飲みたい」のではなく「飲まずにはいられない」状態に陥っています。
これはスマートフォンの記事で説明した「否認」の構造と同じです。「自分は依存症ではない」「やめようと思えばやめられる」── この言葉が出てくること自体が、依存の深さを示しているのです。
なぜ「意志の問題」ではないのか
このシリーズで繰り返し強調してきたことを、もう一度はっきりとお伝えします。
依存症は脳の病気です。意志の強さや人格の問題ではありません。アルコールを長期的に大量に摂取すると、脳の報酬系に構造的な変化が起きます。ドーパミンの分泌パターンが変わり、アルコールなしでは正常な気分を保てなくなります。これは糖尿病でインスリンの分泌が変わるのと同じような、身体的な変化です。
「意志が弱いからやめられない」のではなく、「脳が変化してしまったから、意志だけではやめられない」のです。
アルコール依存症ってどんな病気?
令和6年度の全国調査では、これまでにアルコール依存症が疑われる状態になった方は約64万人と推計されています(アンケートをもとにした推計なので、38万〜90万人ほどの幅があります)。同じ調査で、お酒の問題が強く疑われた119名にたずねたところ、95.8%の方が相談も受診もしたことがないと答えていました。
「お酒好き」と「依存症」は何が違うの?
「お酒が好き」と「アルコール依存症」のあいだには、はっきりとした境界線はありません。少しずつ、気づかないうちに進行していきます。
こんなサインに心当たりはありませんか。
量をコントロールできない:「今日は少しだけ」と思っても、止まらなくなる。
お酒が何よりも優先になる:家族の約束や仕事よりもお酒を選んでしまう。
問題が起きてもやめられない:健康診断で注意されても、家族関係がうまくいかなくても、飲み続けてしまう。
大切なことは、ご本人は「好きで飲んでいる」と思っていることが多いという点です。しかし実際には、脳の仕組みが変わってしまい、「飲まずにはいられない」状態になっています。
なぜ「意志の問題」ではないの?
依存症は脳の病気です。意志の強さや性格の問題ではありません。長期間お酒を大量に飲み続けると、脳の中の「気持ちよさを感じる仕組み」が変わってしまいます。お酒がないと、不安やイライラを感じるようになるのです。これは糖尿病のように体の変化であり、「がんばればやめられる」というものではありません。
薬物依存症── 偏見の壁
「犯罪者」ではなく「患者」
薬物依存症に対する社会の目は、アルコール依存症よりもさらに厳しいものがあります。「違法薬物を使った人=犯罪者=自業自得」という図式が根強く、治療や支援よりも「罰」が求められがちです。
しかし、脳の中で起きていることは、アルコールでも薬物でも、本質的には同じです。報酬系が過剰に刺激され、使用をコントロールできなくなり、やめたくてもやめられなくなる。
覚醒剤やヘロインが特に深刻なのは、その物質が脳の報酬系に与える変化がアルコールよりも急激で強烈だからです。一度の使用でも、脳に深い記憶が刻まれることがあります。
使用のきっかけも、「快楽を求めて」だけではありません。仕事のストレス、人間関係の苦しさ、幼少期のトラウマ、精神的な痛み── そうした苦しみから逃れるために手を出してしまうケースもあります。
依存症の専門家である松本俊彦医師(国立精神・神経医療研究センター)は、著書『薬物依存症』(ちくま新書, 2018年)などで、依存症を安心して「人に依存できない」人が、代わりにモノに依存してしまう状態として捉える見方を示しています。この視点は、依存症の本質を考えるうえで重要です。
ギャンブル依存症── 「行動」の依存
ギャンブル依存症は、物質を体内に摂取しないにもかかわらず、アルコールや薬物と同じ脳の変化が起きる依存症です。2013年に刊行されたアメリカ精神医学会の診断基準DSM-5では、ギャンブル障害が「物質関連障害および嗜癖性障害群」に分類され、物質を伴わない依存として初めて正式に位置づけられました。
これは重要な意味を持ちます。依存症は「物質」だけの問題ではなく、「行動」でも起きることが医学的に認められたのです。
スマートフォン依存、ゲーム依存、そしてAI依存── このシリーズで取り上げてきたテーマが、決して大げさな話ではないことがおわかりいただけるでしょうか。脳の報酬系を繰り返し刺激する行動であれば、何であっても依存の対象になりえます。
薬物やギャンブルの依存も同じ仕組みなの?
薬物依存症── 「自業自得」ではありません
薬物依存症に対して、「自分が悪い」「自業自得だ」と感じる方は多いかもしれません。しかし、脳の中で起きていることは、アルコール依存症と本質的に同じです。
依存症の専門家である松本俊彦医師は、依存症を安心して人に頼れない方が、代わりにモノに頼ってしまう状態として捉えています。ストレスや孤独、心の痛みから逃れようとして手を出してしまうケースが少なくありません。
ギャンブル依存症── 物質がなくても起きる
ギャンブル依存症は、体に何かを入れるわけではないのに、お酒や薬物と同じ脳の変化が起きます。「行動」でも依存症が起きることは、医学的にも認められています。
つまり、依存症はお酒や薬物だけの問題ではなく、脳の仕組みによって誰にでも起こりうるものなのです。
依存症からの回復── 「罰」ではなく「つながり」
回復は可能である
まず、最も大切なことからお伝えします。依存症は回復できます。
「完治」ではなく「回復」という言葉を使うのには理由があります。脳に刻まれた変化は簡単には消えないため、「もう大丈夫」とアルコールを再び口にすれば、再発する可能性があります。しかし、適切な支援のもとで断酒や断薬を続け、生活を立て直していくことは十分に可能です。
回復している人は、日本にたくさんいます。AA(アルコホーリクス・アノニマス)やNA(ナルコティクス・アノニマス)などの自助グループ、ダルクなどの回復施設で、かつて依存症だった人たちが互いに支え合いながら生活しています。
「つながり」の力
依存症の回復において、最も強力な要因のひとつが「つながり」です。
イギリスのジャーナリスト、ヨハン・ハリが広めた言葉に「依存の反対は、シラフ(しらふ)ではない。つながりだ」というものがあります。
この言葉は多くの臨床家の実感とも一致します。依存症に陥る人の多くは、孤立しています。仕事、家族、友人関係── さまざまなつながりが失われ、あるいは最初から十分でなく、その空白を物質や行動で埋めようとしています。
だからこそ、回復の過程では「再びつながること」が不可欠なのです。自助グループでの仲間、支援者との信頼関係、家族との関係の修復、地域での居場所。これらのつながりが、依存の対象に代わって心の空白を埋めていきます。
必要な支援とは
依存症からの回復に必要な支援は、多層的です。
医療的支援:離脱症状の管理、身体合併症の治療、必要に応じた薬物療法。アルコール依存症では、断酒を助ける薬(抗酒薬や飲酒欲求を減らす薬)が使われることがあります。
心理的支援:認知行動療法、動機づけ面接法などの心理療法。自分の思考パターンや行動パターンに気づき、新しい対処法を身につけます。
社会的支援:住居、就労、経済的な問題の解決。依存症から回復しても、生活基盤がなければ再発のリスクが高まります。
仲間の支援:自助グループ(AA、NA、GA)、回復施設(ダルク、マックなど)での仲間づくり。同じ経験をした人の言葉は、専門家の言葉とは違う力を持ちます。
そして、これらすべてに通底するのが、「生活そのものを立て直す」という視点です。ここに、作業療法士の出番があります。
依存症は回復できるの?
回復はできます
最も大切なことをお伝えします。依存症は回復できます。
「完治」ではなく「回復」という言葉を使うのは、脳の変化はすぐには戻らないためです。しかし、適切なサポートを受けながら生活を立て直していくことは十分に可能です。日本にも、回復して元気に暮らしている方がたくさんいます。
なぜ「つながり」が大切なの?
依存症の回復で最も大きな力になるのは、「人とのつながり」です。
ある著名な作家は、「依存の反対は、お酒を断つことではない。人とつながることだ」と表現しています。
依存症になる方の多くは、孤立しています。家族・友人・仕事── さまざまなつながりが薄れ、その空白をお酒や薬物で埋めようとしてしまうのです。だからこそ、回復には「再びつながること」が欠かせません。
どんなサポートがあるの?
医療:お医者さんによる治療や薬の処方。体の症状を安全に管理します。
カウンセリング:認知行動療法などの心理療法。考え方や行動のパターンに気づき、新しい対処法を学びます。
生活の立て直し:住まい、仕事、お金の問題を解決するサポート。生活が安定しないと再発しやすくなります。
仲間づくり:同じ経験をした方が集まるグループ(AA、NAなど)。「自分だけではない」と感じられることが、大きな支えになります。
作業療法士が依存症の回復に果たす役割
「生活を組み立て直す」専門家
依存症の治療において、医師は診断と薬物療法を、心理士はカウンセリングを担います。では作業療法士は何をするのか。
「依存症がある人の生活を、具体的に組み立て直す」のが作業療法士の役割です。
依存症に陥ると、生活のあらゆる側面が崩れます。朝起きる時間、食事の習慣、身だしなみ、人との付き合い方、仕事、趣味── 依存の対象を中心に生活が回っていたため、それを手放したとき、「何をすればいいのかわからない」という空白が生まれます。
この空白を「意味のある活動」で埋めていくのが、作業療法です。
具体的な支援の内容
生活リズムの再構築アルコール依存症の方は、飲酒を中心とした不規則な生活が長く続いていることが多いです。作業療法士は、起床・食事・活動・休息のリズムを一緒に作っていきます。
「朝9時に作業療法室に来る」── たったこれだけのことが、最初は大変です。しかし、毎日決まった時間に場所に行き、何かをする。この繰り返しが、飲酒がない生活の「枠組み」を作ります。
「飲まない時間」の使い方を見つける「酒をやめたら、夜何をすればいいんだ」── これは多くの回復途上の方が直面する切実な問いです。
作業療法士は、その人がかつて楽しんでいたこと、これからやってみたいことを一緒に探します。料理、木工、園芸、音楽、散歩、書道。大切なのは「何をするか」よりも、「自分で選んだ活動に没頭する時間」を持つことです。
このシリーズで繰り返しお伝えしてきた「主体的な関与(engagement)」が、ここでも鍵になります。依存していた時間を、自分が主体的に選んだ活動の時間に置き換えていく。これが作業療法のアプローチです。
社会的な役割の回復依存症が進行する過程で、多くの方が社会的な役割を失います。仕事を失う、家族の中での役割がなくなる、友人関係が途絶える。
作業療法士は、小さな役割から取り戻していくお手伝いをします。入院中であれば、病棟の掃除当番を担当する。グループ活動で他の患者さんにコーヒーを配る。退院に向けて、料理や買い物のリハビリをする。
これらは一見些細なことに見えるかもしれません。しかし、「誰かの役に立っている」「自分にもできることがある」という実感は、回復への大きな動機づけになります。
対人関係のリハビリ依存症の方の多くは、人との付き合い方に困難を抱えています。飲まないと人と話せない。本音が言えない。断ることができない。怒りをコントロールできない。
作業療法では、グループ活動の中で自然な対人交流の機会を作ります。何かを一緒に作る、一緒にスポーツをする、話し合って何かを決める。活動を介して人と関わることで、「飲まなくても人と付き合える」という経験を積んでいきます。
作業療法が依存症回復に適している理由
なぜ作業療法が依存症の回復に有効なのか。それは、作業療法が「生活を丸ごと支援する」専門職だからです。
依存症は、特定の臓器の病気ではありません。その人の生活全体、人間関係全体、人生全体に影響を及ぼす問題です。だからこそ、生活全体を見渡し、具体的な活動を通じて回復を支える作業療法の視点が求められるのです。
回復の道のりは長く、決して平坦ではありません。再発することもあります。しかし、作業療法士は「再発したら終わり」とは考えません。再発は回復プロセスの一部であり、そこからまた生活を立て直していけばいい。この「何度でもやり直せる」という姿勢が、回復を支える力になります。
作業療法士はどんなサポートをしてくれるの?
作業療法士は、依存症のある方の「生活を具体的に立て直す」専門家です。
依存症になると、生活のリズムが崩れます。朝起きる時間、食事、人との付き合い── お酒や薬物を中心に生活が回っていたため、やめたあとに「何をすればいいかわからない」という空白が生まれるのです。
作業療法士は、この空白を「意味のある活動」で埋めるお手伝いをします。
生活リズムを作る:起きる時間、食事、活動、休息。毎日の「枠組み」を一緒に整えます。
楽しめることを探す:料理、散歩、園芸、音楽など、ご本人が「やってみたい」と思える活動を一緒に見つけます。
小さな役割を取り戻す:掃除を担当する、誰かにお茶を出す── 小さなことでも「自分にもできることがある」と感じられることが、回復の力になります。
人との付き合い方を練習する:グループで何かを一緒に作ったり、スポーツをしたりする中で、お酒なしでも人と付き合える経験を重ねます。
再発しても、作業療法士は「終わり」とは考えません。そこからまた生活を立て直していけばいい── この「何度でもやり直せる」という姿勢で寄り添います。
ご家族へ── あなたも支援の対象です
依存症は「家族の病気」とも言われます。本人だけでなく、ご家族もまた、深く傷つき、疲弊しています。
怒り:「なぜやめてくれないの」「約束したのに」
自責:「私の育て方が悪かったのか」「もっと早く気づいていれば」
疲弊:尻拭い、経済的な負担、周囲への嘘、終わりの見えない緊張
もしご家族が依存症で悩んでいるなら、まず知っておいてほしいことがあります。
あなたのせいではありません。依存症は脳の病気です。育て方のせいでも、愛情が足りなかったせいでもありません。そして、ご家族の力だけで治すこともできません。
ご家族自身が支援につながることが大切です。家族会(アラノンなど)に参加すること、精神保健福祉センターに相談すること。助けを求めることは、本人を見捨てることではなく、本人を支える力を取り戻すことです。
おわりに── 「あの人」は「私」かもしれない
このシリーズの最初の記事で、「テレビを見ている人」の話をしました。最後の記事では、「アルコール依存症の人」の話をしています。
しかし、この2つのあいだに、明確な境界線はありません。
テレビの前から動けない人も、スマートフォンを手放せない人も、AIに判断を委ねてしまう人も、お酒をやめられない人も── 脳の報酬系が「もっと」と信号を送り、それに応じて行動を繰り返しているという点では、同じ構造の中にいます。
依存症は「あちら側」の人の病気ではありません。「こちら側」の私たちの脳にも、同じ仕組みが備わっています。だからこそ、依存症の人を「意志が弱い人」「だらしない人」と切り捨てるのではなく、「あの人は、自分にも起こりえたことに苦しんでいるのだ」と理解することができるはずです。
理解は、共感を生みます。共感は、支援の出発点になります。
そして支援の現場には、作業療法士がいます。依存症からの回復に必要なのは、「二度と使うな」という叱責ではなく、「今日一日をどう過ごすか」を一緒に考える人です。朝起きて、顔を洗って、朝食を食べて、誰かと話して、何かに取り組んで、夜に布団に入る── この当たり前の1日を取り戻すことが、回復の本質です。
依存症は特別な人の病気ではありません。そして、回復もまた特別なことではありません。「今日一日を、自分の力で生きた」── その積み重ねこそが、回復そのものなのです。依存症は脳の病気であり、「意志が弱い」のではありません。そして、回復できる病気です。
家族として大切なのは、ご自身を責めないこと。そして、一人で抱え込まず、相談先につながることです。
「今日一日を、自分の力で過ごせた」── その積み重ねが回復そのものです。ご家族の理解と支えは、その大きな力になります。
- 精神保健福祉センターに相談しましょう。各都道府県に設置されており、依存症の相談を無料で受け付けています。「こころの健康相談統一ダイヤル(0570-064-556)」からつながることもできます
- 家族会(アラノンなど)に参加してみましょう。同じ悩みを持つ家族同士で話すことで、「自分だけではない」と感じられます。まずはオンライン参加から試してみるのもよいです
- ご自身の休息を大切にしてください。家族の支援は長期戦です。自分の趣味や友人との時間を「申し訳ない」と思わずに確保しましょう。あなたが元気でいることが、ご本人の回復を支える一番の力になります
シリーズ一覧:
- 「テレビばかり見ている」は本当に悪いのか
- ネトフリがやめられない
- スマートフォン依存の構造を知る
- AIに「おまかせ」し続けると、何が起きるか
- 今回 ── 依存症は「特別な人の病気」ではない
- 久里浜医療センター「令和6年度 依存症に関する調査研究事業『飲酒と生活習慣に関する調査』結果速報(訂正版)」(厚生労働省補助事業)── 生涯のアルコール依存症が疑われる者 約64.4万人(95%CI 38.3〜90.5万人)、過去1年のアルコール使用障害が疑われる者 約304.1万人
- 同上・報告書本体(表3-28 AUDIT15点以上の相談経験:「いずれもない」95.8%、「専門機関で治療を受けた」4.2%)
- 特定非営利活動法人ASK/NCASA-Japan 調査報告書一覧(上記PDFの掲載元)
- 松本俊彦『薬物依存症』(シリーズ ケアを考える)ちくま新書, 2018年(ISBN 978-4-480-07172-9)
- American Psychiatric Association. Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders, Fifth Edition (DSM-5). 2013 ── ギャンブル障害を「物質関連障害および嗜癖性障害群」に分類
この記事の執筆者
ひろえもん作業療法士
作業療法士の国家資格を持ち、2012年から作業療法の普及・啓発を目的に当サイトを運営。 臨床経験に基づき、確認できる情報源にあたった上で執筆しています。
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