この記事のポイント
- 食事・のみこみの困りごとは「のみこみ」「食べる動作」「食べる量・意欲」「食の広がり」の4つに分けると、対処の入り口が見つけやすくなります
- むせ・誤嚥は命に関わることがあるサインです。食形態の調整と口腔ケアで、肺炎のリスクを下げられます
- 「食べること」は栄養補給であると同時に、人生の楽しみでもあります。安全と楽しみの両立が支援のゴールです
「食べること」の心配は、4つに分けると整理できます
嚥下の問題、手や体の動きの問題、食べる量の問題、食の好みの問題 ── 「食べること」の困りごとは、原因によって対処の入り口が変わります。まずはどのタイプに近いかを見てみてください。
むせる・のみこみにくい
食事中にむせる、のどに残る感じがする、食後に痰が増える
うまく食べられない
手の麻痺やふるえ、見えにくさで、食具の操作や配膳が難しい
食べる量が減った
食が細くなった、体重が減ってきた、食事に興味を示さなくなった
食べてくれない
子どもの偏食、特定のものしか食べない、食事の時間が苦痛になっている
むせが増えてきたら ── 早めの相談が安心です
食事中のむせは、食べものが気管に入りかけているサインです。むせが続くときは、食べものの形やとろみ、食べるときの姿勢を整えることで安全性が大きく変わります。具体的な工夫は「飲み込みにくい」を安全に乗り越える記事でやさしく解説しています。
また、誤嚥性肺炎の予防には、お口の中を清潔に保つことがとても効果的です。口腔ケアが命を守る記事で毎日のケアの方法を紹介しています。
食事のときは「あごを軽く引いた姿勢」を意識してみてください。上を向いた姿勢はむせやすくなります。椅子に深く腰かけ、足の裏が床につく高さに整えるだけでも、のみこみやすさが変わります。
食が細くなってきたら ── 「量より質」の工夫があります
食べる量が減ってきたときは、無理に量を増やそうとするより、少量で栄養がとれる工夫が近道です。食べる量が減ったときの食事の工夫の記事とサルコペニア予防の記事で、家庭でできる方法を紹介しています。
手が使いにくい・見えにくいときの道具の工夫
片手しか使えない、手がふるえる、見えにくい ── そんなときは、道具と配置の工夫で「自分で食べる」を続けられることがたくさんあります。片手でできる生活の工夫の記事、手のふるえを楽にする道具の記事、見えにくくても食事を楽しむ記事が参考になります。
すべり止めマットを食器の下に敷くだけで、片手でも食器が動かず食べやすくなります。100円ショップで手に入るもので試せるので、専用の自助具を買う前の「お試し」としておすすめです。
子どもが食べてくれないとき
偏食や「食べない」には、わがままではなく、感覚の特性や口の発達が関係していることがあります。叱るよりも、段階を踏んで食の経験を広げるアプローチが有効です。子どもの偏食・食べない原因の記事で、今日から試せる方法を紹介しています。
「食べること」の困りごとは、原因のタイプに合わせた対処の入り口を見つけることが第一歩です。むせるなら食形態と姿勢、食が細いなら少量高栄養の工夫、手が使いにくいなら道具の工夫、偏食なら段階的なアプローチ ── それぞれの記事で具体的な方法を紹介しています。心配が続くときは一人で抱え込まず、かかりつけ医やケアマネジャー、リハビリの専門職に相談してください。
よくある質問
- 食事中によくむせるようになりました。すぐに受診すべきですか?
- むせが続く、食後に痰が増える、微熱が続く、体重が減ってきたという場合は、誤嚥や低栄養のサインの可能性があるため、かかりつけ医への相談をおすすめします。特に発熱を伴う場合は誤嚥性肺炎の恐れがあるため早めの受診が安心です。
- とろみは自己判断でつけてもよいですか?
- とろみの濃さは人によって適切な段階が異なり、濃すぎるとかえって飲み込みにくくなることがあります。まずは薄めから試し、医師・言語聴覚士・作業療法士など専門職に適切な段階を確認するのが安全です。
- 食事の困りごとは誰に相談すればよいですか?
- 入院・通院中ならリハビリテーション科や主治医、在宅ならケアマネジャーや地域包括支援センターが入り口になります。のみこみは言語聴覚士、食事動作や道具の工夫は作業療法士、栄養は管理栄養士が専門です。
この記事の執筆者
ひろえもん作業療法士
作業療法士の国家資格を持ち、2012年から作業療法の普及・啓発を目的に当サイトを運営。 臨床経験に基づき、確認できる情報源にあたった上で執筆しています。
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