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1日のタイムマネジメント ── 「時間が足りない」の正体

治療・記録・準備・カンファレンス。新人が陥りがちな時間の使い方と、「記録が終わらない」問題の対策を解説します。

📅 2026年3月28日 更新読了目安 6分

新卒OTスタートアップコラム「4月1日までに知っておきたいこと」── 第8回

この記事のポイント

  • 「時間が足りない」の正体は、多くの場合「記録に時間がかかりすぎる」ことです
  • 治療の「前後5分」の使い方で、1日の効率が大きく変わります
  • 受け入れ側は、新人の業務量を段階的に増やす設計を意識しましょう

新人の1日はこう流れる

施設によって異なりますが、典型的な回復期リハ病棟のOTの1日を例にとると、おおよそこのような流れになります。

8:30 出勤・朝のミーティング 9:00〜12:00 午前の治療(3〜4名) 12:00〜13:00 昼休憩 13:00〜16:30 午後の治療(3〜4名) 16:30〜17:30 記録・カンファレンス・翌日の準備

1日に6〜8名の患者さんを担当し、その全員の記録を書き、翌日の準備をし、カンファレンスにも参加する。先輩は涼しい顔でこなしていますが、新人にとっては圧倒的な情報量と時間のプレッシャーです。

「記録が終わらない」問題

新人が最も時間を費やすのは記録です。

先輩が15分で書き終える記録に、新人は1時間かかることも珍しくありません。その結果、毎日残業が続き、疲弊していきます。

なぜ時間がかかるのか。主な原因は3つです。

原因1:何を書くか決まっていない状態で書き始める

治療が終わってからパソコンの前で「何を書こう」と考え始めると、時間がかかります。第3回のコラムで紹介した記録の構造を意識し、治療中から「何を記録に書くか」を頭の片隅に置いておくだけで、書くスピードが大幅に上がります。

原因2:完璧に書こうとする

学生時代のレポートの感覚が抜けず、文章を推敲しすぎてしまうパターンです。臨床の記録は文学作品ではありません。事実が正確で、次のアクションが明確であれば十分です。

原因3:まとめて書こうとする

午前の患者さん4名分の記録を午後にまとめて書こうとすると、細部を忘れてしまい、思い出す作業に時間がかかります。

治療の「前後5分」で変わる

時間管理のカギは、治療と治療の隙間の5分にあります。

治療の前5分:前回の記録を確認し、今日の目標と評価項目を頭に入れます。何を見て、何を測るかが明確になるため、治療の密度が上がります。

治療の後5分:患者さんをお送りした直後に、記録の要点だけメモします。数値、患者さんの発言、気づいた変化。キーワードだけでも書いておけば、後で記録を書くときの時間が半分以下になります。

この「前後5分」を習慣にするだけで、終業後の記録時間が劇的に短縮されます。

優先順位のつけ方

新人は「すべてのタスクが同じ重要度に見える」状態に陥りがちです。以下の優先順位を覚えておいてください。

最優先:患者さんの安全に関わること(バイタル異常、転倒リスク、急変の報告)

高:時間が決まっているもの(治療のスケジュール、カンファレンス、退院前訪問)

中:当日中に終わらせるべきもの(記録、申し送り事項の連絡)

低:期限に余裕があるもの(評価報告書の作成、勉強会の準備)

迷ったら第2回のコラムで紹介した「相談」を使ってください。「今日のタスクの優先順位を確認させてください」と先輩に聞くだけで、不要な焦りが減ります。

受け入れ側へ── 業務量の段階的設計

新人の「時間が足りない」は、能力不足ではなく業務量の設計の問題であることが多いです。

最初から先輩と同じ単位数を持たせるのではなく、以下のような段階的な設計が効果的です。

1

1週目

  1. 1見学中心、担当患者0〜1名
2

2〜3週目

  1. 2担当2〜3名、先輩のバディつき
3

1ヶ月目以降

  1. 3担当4〜5名に段階的に増加
4

3ヶ月目

  1. 4フル稼働に近い単位数

記録についても、最初のうちは先輩が一緒に書く時間を設けると、記録の質とスピードが同時に向上します。「一人で書いてみて」と丸投げにするのではなく、最初の1週間は隣で書き方を見せるだけで、その後の成長速度がまったく変わります。


前回:多職種の「言語」を知る次回:「できない自分」との付き合い方

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