はじめに
いわゆる難病というものにひとくくりにされるものには、症状が進行するにつれてコミュニケーションの障害が立ち現れてくる物があると思います。
具体的にそういう場面に出くわすこととなり、その体験が自分の無力さ加減を浮き彫りにしましたので、ぜひ共有できればと思います。
小脳変性症的疾患
決して数の多い疾患ではないですが、作業療法士養成過程における力の入れ具合はそれなりではないかとおもいます。それは、ひとえにこの疾患が、本人とその周囲に非常にたくさんの出来事を巻き起こすからではないでしょうか。
笑顔が素敵な優しいSさん
自分が、入社してすぐにおつきあいがあった患者さんの一つです。フロアなどで自分がやらかしたときには、発語が難しいので、優しい笑顔で「うんうん」とうなずいてはげましてくださったものでした。
時には、片言ながらも話しかけてくださり、会話をして楽しませてくださる事もありました。
症状が進行
いろいろイベントが忙しくしていた生もあり、最近、作業療法室にて顔を会わせることがすくなくなっていました。
今日、病棟に行ってみて、久々に会って驚きました。
ずいぶんと違う印象のSさんがそこにはいました。ベッドから体を起こす事はできず、1語ごとの発語はあるものの、まったく単語につながらず、聞き取る事ができませんでした。
腕は動かす事ができるので、指差したりなど限られた動作を駆使してジェスチャーなどでこちらに意図を伝えようとしてくださるのですが、Sさんのいいたい事が全く理解できませんでした。
申し訳なさ
相手は切々とした表情で自分の言いたい事伝えたい事を、こちらに訴えます。
可能性のありそうな事について、一つ一つこちらが言葉にして問いかける形で、確認を行い内容の特定を試みましたが、最終的に理解ができきませんでした。
理解できないふがいなさを、ただSさんに詫びる事しかできませんでした。
自助具について
コミュニケーションボードなどあれば、いいのかなあと思いました。
また試してみたいと思いますが、ほかにこんなものがあればいいのではないだろうかという案がある方はぜひ、アイディア頂けると嬉しく思います。
コミュニケーションがはかれないもどかしさについて
相手が自分に一生懸命伝えようとしている分、こちらも一生懸命になります。お互い一生懸命なのに、意味のやり取りができなかったのは、自分にとって非常につらい体験でした。Sさんはもっとつらかったと思います。
この苦痛が軽減できるような支援ができたらいいなあと思います。
おわりに
病棟に行く用事があり、その時にSさんの様子をたまたま知る事ができました。
時間の許す限り、まめに病棟に足を運ぶことも大切だと思いました。
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