この記事のポイント
- 作業療法士になるには、文部科学大臣が指定した学校または都道府県知事が指定した養成施設(3〜4年制の大学・短大・専門学校)を卒業し、国家試験に合格する必要があります。学費の目安は国公立大学約250万円(授業料・入学料)・私立約500〜700万円です。
- 3年制の専門学校でも4年制の大学でも、取得できる国家資格は同じ
- 国家試験は毎年2月実施。第61回(2026年)の合格率は91.2%で、近年はおおむね80〜90%で推移
- 資格取得後も継続的な学習が不可欠で、臨床・教育・研究・起業など多様なキャリアパスがある
作業療法士になるための基本ルート
作業療法士になるためには、文部科学大臣が指定した学校または都道府県知事が指定した養成施設(大学・短期大学・専門学校)を卒業し、国家試験に合格することが必要です。
高校卒業後のルートが一般的ですが、社会人から作業療法士を目指す方も少なくありません。いずれの場合も、養成校での所定の課程を修了することが国家試験の受験資格となります。
必要な期間と費用
作業療法士の資格取得にかかる期間と費用の目安は以下の通りです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 修業年限 | 3年(専門学校)〜4年(大学) |
| 学費(国公立大学) | 約250万円(授業料・入学料の4年間合計) |
| 学費(私立) | 約500〜700万円(3〜4年間合計の目安) |
| 取得できる資格 | 作業療法士国家資格(課程による違いなし) |
国立大学の授業料標準額は年額53万5,800円・入学料28万2,000円で、授業料・入学料だけなら4年間の合計は約240万円、公立大学の平均もほぼ同水準です(出典: 文部科学省 国公私立大学の授業料等の推移, 2021年)。一方、私立大学の保健系学部では初年度納付金(授業料・入学料・施設設備費)の平均が約150万円と報告されており(出典: 文部科学省 令和7年度私立大学入学者に係る初年度学生納付金等平均額調査, 2025年)、実験実習料などを含めると3〜4年間の総額はおおむね500〜700万円になる計算です。実際の学費は養成校ごとに異なるため、必ず各校の募集要項でご確認ください。
重要な点として、3年制の専門学校でも4年制の大学でも、取得できる国家資格は同じです。ただし、4年制大学では学士号が取得でき、大学院への進学がしやすいというメリットがあります。
作業療法士になる道すじは、ひとつだけです。養成校(大学・短期大学・専門学校)で3〜4年間学び、国家試験に合格すること。高校を卒業してまっすぐ進学すれば、早ければ3年後の春から作業療法士として働き始められます。
① 養成校に入学する
- 14年制の大学、3年制の短期大学、3〜4年制の専門学校から選びます
② 3〜4年間かけて学ぶ
- 2体の仕組みなどの土台から、病院や施設での実習まで段階的に進みます
③ 国家試験に合格する
- 3毎年2月に全国で行われ、3月下旬の合格発表を経て、その春から働けます
学費はどれくらいかかりますか
目安は、国公立の大学で4年間およそ250万円、私立の大学・専門学校で3〜4年間およそ500万〜700万円です。これは学費だけの金額で、ほかに教科書代、実習用具、実習先へ通う交通費(遠方なら宿泊費)がかかります。学校ごとの差が大きいので、志望校の募集要項で必ず確かめてください。
大学と専門学校、どちらを選べばよいですか
どちらを卒業しても、取れる国家資格はまったく同じです。4年制は学士の学位が取れ、将来は大学院に進む道が開けます。3年制は1年早く働き始められ、総額を抑えやすくなります。なお、社会人になってから目指す方も少なくなく、夜間に通える養成校もあります。
養成校(養成施設)の種類と選び方
養成校の種類
作業療法士の養成校は、2026年現在、全国に204校・210課程あります(出典: 日本作業療法士協会 作業療法士養成校一覧, 2026年)。
- 4年制大学 — 学士号取得、研究活動の基礎を学べる
- 3年制専門学校 — 実践的なカリキュラムで効率よく学べる
- 短期大学 — 3年制で短期大学士の学位を取得
- 夜間部・通信制 — 働きながら学べる養成校もあり
養成校選びのポイント
養成校選びは、3〜4年間を過ごす大切な決断です。以下のポイントを参考にしてください。
学費・奨学金制度
公立校と私立校では学費に大きな差があります。奨学金制度や教育ローンの利用も検討しましょう。日本学生支援機構の奨学金のほか、各都道府県や養成校独自の奨学金もあります。
養成校の歴史と実績
歴史のある養成校は、臨床実習先との長年の関係が築かれており、実習環境が充実している傾向があります。また、国家試験対策のノウハウが蓄積されていることも大きなメリットです。
教員の質
著名な作業療法士や研究者が教員として在籍している養成校では、最新の知見に触れながら学ぶことができます。オープンキャンパスなどで教員との相性を確認するのもおすすめです。
カリキュラムの特色
養成校によっては、海外研修プログラム、地域リハビリテーション、特定の疾患領域に強いカリキュラムなど、特色あるプログラムを用意しています。自分の興味に合った学びができるかどうかを確認しましょう。
立地・通学環境
3〜4年間通うことを考えると、通学のしやすさや住居費も重要な要素です。特に地方から都市部へ出る場合は、生活費全体を考慮する必要があります。
養成校は2026年時点で全国に204校あります。数が多いので、次の4点を軸にすると比べやすくなります。
- 費用の総額 — 学費に通学費や一人暮らしの生活費まで足して比べ、使える奨学金も同時に確認します
- 国家試験への取り組み — 合格率の数字だけでなく、何年生からどんな対策をするのかを聞きます
- 実習先の充実度 — 歴史のある学校ほど病院や施設との関係が深い傾向があります
- 雰囲気と通いやすさ — 在校生や先生の様子は、資料からは分かりません
パンフレットだけで決めず、できればオープンキャンパスに親子で足を運んでみてください。実習室の設備や在校生の表情は、その場でしか分からない情報です。
養成校で学ぶカリキュラム
養成校のカリキュラムは、理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則に基づき、合計101単位以上の履修が求められます。2020年4月の入学生から適用された指定規則改正で93単位以上から引き上げられ、臨床実習も22単位に拡充されました(出典: 理学療法士作業療法士学校養成施設指定規則, 2020年改正適用)。総時間数の目安としては3,150時間以上とされています。
基礎科目
医療従事者としての基礎知識を身につけます。
解剖学
人体の構造を学ぶ
生理学
身体機能のメカニズムを学ぶ
病理学
疾患の成り立ちと特徴を学ぶ
神経科学
脳と神経系の働きを理解する
運動学
人の運動の仕組みを学ぶ
老年学
加齢に伴う変化を理解する
専門科目
作業療法の理論と実践を学びます。
作業療法概論
作業療法の歴史・理念・倫理
作業療法評価学
対象者の状態を評価する方法
身体障害作業療法
身体障害領域の治療理論と技術
精神障害作業療法
精神障害領域の治療理論と技術
発達障害作業療法
発達障害領域の治療理論と技術
老年期障害作業療法
老年期領域の治療理論と技術
地域作業療法
地域でのリハビリテーション
作業療法研究法
研究の基礎と卒業研究
臨床実習
教室での学びを臨床現場で実践する重要な過程です。段階的に進められます。
- 見学実習(1〜2週間): 臨床現場を見学し、作業療法の実際を知る
- 評価実習(2〜3週間): 実際に対象者の評価を体験する
- 総合臨床実習(6〜8週間×2回程度): 評価から治療計画、実施まで一連のプロセスを担当する
臨床実習は養成校での学びの集大成であり、作業療法士としての実践力を身につける最も重要な機会です。
在学中に学ぶ内容は、大きく3つに分けられます。
基礎の科目
骨や筋肉のつくり、体や脳の働きなど、医療の仕事に共通する土台
専門の科目
けがや病気、障害のある方にどう関わるのかという作業療法そのもの
実習
病院や施設で、指導を受けながら実際に患者さんを担当します
なかでも臨床実習は、いちばん大変で、いちばん力がつく時間です。1〜2週間の見学から始まり、最終学年では6〜8週間の長い実習を2回ほど経験します。
保護者の方に知っておいていただきたいのは、実習の期間はアルバイトを続けるのが難しくなるということです。実習先が遠方なら交通費や宿泊費もかかります。学費とは別に、この時期の生活費を見込んでおくと安心です。
国家試験について
試験概要
作業療法士の国家試験は毎年2月に実施されます。養成校の最終学年在学中に受験するのが一般的です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 試験時期 | 毎年2月下旬 |
| 試験形式 | マークシート方式(5肢択一) |
| 合格率 | 約80〜90%(第61回・2026年は91.2%) |
| 合格発表 | 3月下旬 |
| 受験料 | 10,100円(2026年現在) |
試験期日や受験手数料10,100円などの試験概要は、厚生労働省が毎年公示しています(出典: 厚生労働省 作業療法士国家試験の施行, 2026年)。また、第61回国家試験(2026年2月実施)では受験者5,426人に対し合格者4,947人、合格率91.2%でした(出典: 厚生労働省 第61回作業療法士国家試験の合格発表, 2026年)。
試験科目
解剖学・生理学・運動学
基礎医学の知識
病理学概論・臨床心理学・リハビリテーション医学
臨床基礎
臨床医学大要
内科、外科、神経内科、整形外科、精神医学、小児科学
作業療法
専門科目
合格のために
国家試験の合格率は高い水準を維持していますが、不合格となった場合は翌年まで受験を待たなければなりません。その間のブランクは就職活動やキャリア形成に大きな影響を与えるため、十分な準備が必要です。
養成校では通常、最終学年の後半から国家試験対策が本格化します。過去問題の分析や模擬試験の受験を通じて、着実に合格力を養いましょう。
国家試験は毎年2月下旬に全国の会場で行われ、3月下旬に結果が発表されます。養成校の最終学年に在学しながら受けるのが一般的で、卒業と合格がそろって初めて作業療法士になれます。受験料は10,100円(2026年現在)、選択肢から答えを選ぶマークシート方式です。
直近の第61回(2026年2月)は、受験した5,426人のうち4,947人が合格し、合格率は91.2%でした。易しい試験に見えるかもしれませんが、これは3〜4年の課程を修めた人が、学校ぐるみで対策をしたうえでの結果です。裏を返せば、10人に1人前後は合格できていません。
不合格だと、次のチャンスは1年後です
国家試験は年に1回しか行われません。合格できなかった場合、次に受けられるのは翌年の2月で、働き始められるのはさらにその春になります。学校を選ぶ段階で、国家試験の対策を何年生からどのように行っているかを確認しておくと安心です。
卒業後のキャリアパス
国家試験に合格した後は、医療機関や福祉施設に就職するのが一般的です。
就職状況
作業療法士の就職は比較的良好な状況が続いています。特に以下の分野では需要が高い傾向にあります。
卒後教育の重要性
国家試験はあくまで作業療法士としての最低限の能力を確認するものです。臨床で一人前になるためには、卒業後も継続的な学習が不可欠です。
- 日本作業療法士協会の生涯学習制度 — 体系的な自己研鑽プログラム
- 学会・研修会への参加 — 最新の知見やスキルの習得
- 臨床での経験蓄積 — 先輩セラピストからの指導を受けながらスキルアップ
- 専門資格の取得 — 認定作業療法士、専門作業療法士など
多様なキャリアの可能性
作業療法士のキャリアは臨床だけにとどまりません。
- 臨床スペシャリスト — 特定領域のエキスパートを目指す
- 管理職 — リハビリテーション部門のマネジメント
- 教育職 — 養成校の教員として後進を育成
- 研究者 — 大学院に進学し、作業療法の学術的発展に貢献
- 起業 — 訪問看護ステーション開設や福祉用具関連事業
「資格を取ったあと、本当に仕事はあるのか」。保護者の方が気にされるところだと思います。作業療法士の就職状況は、今のところ良好な状態が続いています。
国家資格なので、一度取れば全国どこでも通用し、更新の手続きもありません。結婚や出産でいったん現場を離れても、戻りやすい仕事です。ただし合格した時点はスタート地点で、現場で一人前になるには卒業後も学び続けることになります。その先の進み方も、専門分野を深める、管理職になる、教員や研究者になる、独立するなど、ひとつではありません。
まとめ
この記事のポイントを振り返ります。
- 作業療法士になるには、養成校での3〜4年間の学びと国家試験への合格が必要
- 養成校選びは将来のキャリアに大きく影響するため、学費・カリキュラム・実習環境・教員の質を総合的に検討する
- 国家試験の合格率は第61回(2026年)で91.2%(近年は8割台後半〜9割台)。十分な準備が重要
- 卒後も継続的な学習が不可欠で、多様なキャリアパスがある
進路を考えるご本人・保護者の方へ
- 進む道はひとつです。養成校で3〜4年学び、2月の国家試験に受かれば資格が手に入ります
- 大学でも専門学校でも資格は同じ。4年制は学位と将来の選択肢、3年制は早さと費用の軽さが持ち味です
- 費用は学費だけでは終わりません。通学費・生活費・実習の費用まで足して見積もりましょう
- 合格率9割は、学校ぐるみで対策した結果の数字です。国試対策の体制は必ず確認してください
- 働く場は病院に限らず介護施設・児童発達支援・訪問リハビリなど幅広く、資格に更新はありません
- オープンキャンパスは親子で行く: 費用、奨学金、国家試験対策、実習先。聞きたいことをメモにしてから行くと安心です。
- お金の話を早めにしておく: 3〜4年間の総額を一度紙に書き出し、どこまでを奨学金で賄うかを家族で話しておくと、入学後に慌てずにすみます。
- 働いている人の話を聞く: 見学を受け入れている病院や施設もあります。仕事の実際を知ることが、進学の意思を固める助けになります。
作業療法の基本については作業療法とは?わかりやすく解説を、作業療法士の仕事内容については作業療法士ってどんな仕事?を、活躍できる分野については作業療法の職域もあわせてご覧ください。
免責事項: 当サイトの情報は一般的な知識提供を目的としたものであり、医療上の助言を構成するものではありません。養成校の情報や国家試験の詳細は変更される場合がありますので、最新情報は各養成校や厚生労働省の公式サイトをご確認ください。
よくある質問
- 作業療法士になるにはどうすればいいですか?
- 文部科学大臣が指定した学校または都道府県知事が指定した養成施設(3〜4年制の大学・短期大学・専門学校)を卒業し、国家試験に合格する必要があります。高校卒業後の進学が一般的ですが、社会人から目指す方も少なくありません。いずれも養成校の課程修了が受験資格となります。
- 専門学校と大学では取得できる資格に違いはありますか?
- 3年制の専門学校でも4年制の大学でも、取得できる国家資格は同じ作業療法士国家資格です。ただし4年制大学では学士号が取得でき、大学院への進学がしやすいというメリットがあります。
- 作業療法士の養成校の学費はどのくらいかかりますか?
- 国公立大学は授業料・入学料の4年間合計で約250万円、私立は3〜4年間で約500〜700万円が目安です。日本学生支援機構の奨学金のほか、各都道府県や養成校独自の奨学金、教育ローンの利用も検討できます。
- 作業療法士国家試験の合格率はどのくらいですか?
- 近年はおおむね80〜90%で推移しており、第61回(2026年2月実施)は受験者5,426人に対し合格者4,947人、合格率91.2%でした。試験は毎年2月下旬にマークシート方式で実施され、受験料は10,100円です。
- 社会人から作業療法士を目指すことはできますか?
- 可能です。社会人から作業療法士を目指す方も少なくなく、夜間部や通信制など働きながら学べる養成校もあります。社会人でも養成校で所定の課程を修了すれば国家試験の受験資格が得られます。
この記事の執筆者
ひろえもん作業療法士
作業療法士の国家資格を持ち、2012年から作業療法の普及・啓発を目的に当サイトを運営。 臨床経験に基づき、確認できる情報源にあたった上で執筆しています。
運営者プロフィールを見る →