結論から言うと、適法になったそうです。
この事例は以下で、紹介されていました。
事件の概要のみ引用します。少し長いですが。
事件の概要
患者(80歳女性)は2003年6月20日以降、両側胸部痛を訴えてA医療機関に入院していたが、入眠剤を服用した際、トイレ内で転倒して左恥骨を骨折した。その後、入退院を繰り返し、10月7日には変形性脊椎症や腎不全などでB病院に入院。当初は腰痛があり歩行困難だったが、車椅子に移乗してトイレに行くことができるまでに軽快した。
しかし、10月22日から11月5日にかけて、夜になると大声で意味不明なことを発するなど、せん妄の症状が表れ、トイレで急に立てなくなってナースコールをしたり、1人でトイレに行った帰りに車椅子を押して歩いて転倒したりすることがあった。
11月15日夜から翌16日朝にかけて、患者は入眠剤服用後も、汚れていないおむつの交換を頻回にわたって要望したため、当直していた看護師3人はそれに応じるなどして落ち着かせようとした。それでも患者は、車椅子でナースステーションに来ておむつの汚れなどを大声で訴え続けたため、看護師はその都度おむつを交換した。向精神薬は、患者の腎機能への影響を考慮して使用されなかった。
なお当時、当直の看護師3人で対応しなければならないほかの患者は27人おり、そのうちドレナージ中で要注意の患者が1人いた。
看護師は16日午前1時ころ、同室者に迷惑になることや転倒の危険が高いことから、ナースステーションに近い個室に患者を移動させ、お茶を出すなどして落ち着かせようとした。だが興奮は収まらず、ベッドから起き上がろうとする動作を繰り返した。
このため看護師は、抑制用のミトン(緊縛用のひもが付いた、手先の丸まった手袋)を使用して、患者の右手をベッドの右柵に、左手を左柵にくくり付けた。すると、患者は口でミトンのひもをかじって片方を外し、その際に右手首皮下出血と下唇擦過傷を負った。その後、看護師は、午前3時ころに患者が入眠したのを確認し、もう片方のミトンを外して元の病室に戻した。
患者は04年11月、当直の看護師が両上肢をベッドに拘束したのは診療契約上の義務に違反する行為であると主張し、損害賠償の支払いを求めて提訴した。
原文:せん妄患者の身体拘束に「適法」判断:日経メディカル オンライン
この件が適法にされた理由についてですが、整理すると「現場の必要性があるから」という風に要約できると考えます。
また、現場での人手不足も考慮されたのではないかということです。
身体拘束については、自傷行為や他者を傷害するような場合には、医師の判断がなくても可能だという見解が示されています。
作業療法士がベッドサイドでのリハビリテーションを実施する場合において、身体拘束されている患者様を担当することは珍しいことではないと思います。
法律関係の知識としてこういうことも、知っておく必要があるなあと思いました。
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