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海外OTとつながる──ネットワーク構築の実践ガイド【英語×OT 第12回・最終回】

LinkedIn活用術、国際研究プロジェクトへの参加、海外研修・留学の選択肢、WFOT・APOTSなどの国際組織について解説します。日本のOTとして世界とつながり、発信する具体的な方法を紹介する連載最終回です。

📅 2026年5月17日 更新読了目安 14分

この記事のポイント

  • 海外OTとのネットワーク構築は、オンラインから始めるのが最も現実的です
  • LinkedInは研究者・教育者とつながる最適なプラットフォームであり、日本からの発信は歓迎されます
  • 国際研究プロジェクトへの参加は、英語力と研究スキルを同時に伸ばす効果的な方法です
  • WFOT、AOTA、APOTSなどの国際組織には、個人レベルで参加できる機会があります
  • この連載を通じて身につけた英語力は、世界とつながるための土台です
  • 前回:世界のOTを比較する

はじめに──つながりは「今日」から始められる

連載「英語で広がる作業療法の世界」もいよいよ最終回です。

第1回で「なぜ英語が必要か」を考え、初級編で読む力を、中級編で使う力を、上級編で発信する力を順に築いてきました。最終回のテーマは「つながる」です。

海外のOTとつながることは、もはや特別なことではありません。インターネットとSNSの普及により、物理的な距離を超えた交流が日常的に可能になっています。

LinkedInを活用する

なぜLinkedInなのか

研究者、教育者、臨床家──英語圏のOT専門家の多くがLinkedInを利用しています。Xと異なり、実名・所属を明示した専門的なつながりが中心のため、学術的な交流に適しています。

ネットワーク構築の5ステップ

ステップ1:プロフィールを充実させる

第7回で作成した英語プロフィールをベースに、以下の項目を追加します。

  • 経歴(Experience):職歴を逆時系列で記載
  • 学歴(Education):大学名と専攻を記載
  • スキル(Skills):専門分野に関連するスキルを追加(例:Stroke Rehabilitation, Cognitive Assessment, Splinting)
  • プロフィール写真:専門家としてふさわしい写真を使用

ステップ2:つながりを増やす

  • 自分の専門分野に関連する研究者を検索してフォローする
  • OT関連のグループに参加する(例:"Occupational Therapy Global Network")
  • 学会で出会った人とLinkedInでつながる
  • "Connect" リクエストを送る際は必ず短いメッセージを添える

メッセージ例:

Dear Dr. [名前], I am an occupational therapist from Japan. I enjoyed reading your paper on [テーマ] and would like to connect with you. Thank you.

ステップ3:コンテンツを発信する

  • 読んだ論文の感想を投稿する
  • 日本のOTの実践を紹介する投稿を書く
  • 興味深い記事やニュースをシェアする

日本のOTの日常を紹介するだけで、海外のOTにとっては新鮮な情報です。日本のリハビリ室の様子、折り紙を使った活動、介護保険制度の特徴──これらはすべて国際的に関心を持たれるトピックです。

ステップ4:コメントで交流する

他の人の投稿にコメントすることは、つながりを深める効果的な方法です。

  • "Thank you for sharing this. In Japan, we also..." (共有ありがとうございます。日本でも〜)
  • "This is very relevant to my practice. I am currently..." (これは私の実践にとても関連があります。現在〜)
  • "I would love to learn more about this topic." (このテーマについてもっと学びたいです)

ステップ5:ダイレクトメッセージで深める

コメントのやり取りで関係が育ったら、ダイレクトメッセージで個別にコンタクトを取ることもできます。共同研究の相談、情報交換、オンライン勉強会の提案など、より深い交流につなげていくことが可能です。

国際組織への参加

WFOT(世界作業療法士連盟)

WFOTは日本作業療法士協会を通じて加盟していますが、個人レベルでもさまざまな機会があります。

  • WFOT Congressへの参加と発表
  • ニュースレターの購読(WFOTサイトから登録可能)
  • ワーキンググループへの参加申請
  • Position Statementsへのパブリックコメント

AOTA(米国作業療法士協会)

AOTAは国際会員を受け付けています。年会費を支払うことで、AJOT全文アクセスを含む会員特典を利用できます。

APOTS(Asia Pacific Occupational Therapy Symposium)

アジア太平洋地域のOT学会です。地理的にも文化的にも日本と近い国々のOTと交流できるため、国際交流の最初のステップとして適しています

国際研究プロジェクトへの参加

どうやって見つけるか

  • LinkedInやXで研究プロジェクトの募集を探す:研究者がcollaborator(共同研究者)を募集する投稿がしばしばあります
  • 論文の corresponding author に連絡する:興味のある研究テーマの著者にメールで連絡し、共同研究の可能性を打診する
  • WFOTのプロジェクト:WFOTが主導する国際的な調査研究に参加する機会があります
  • 大学間の交流プログラム:所属大学や近隣の大学に国際交流プログラムがないか確認する

参加のハードル

国際研究プロジェクトへの参加は、高い英語力が必要だと思われがちですが、実際にはそうとは限りません。

  • データ収集の協力:日本でのデータ収集を担当する形で参加できる場合がある
  • 翻訳の協力:評価ツールの日本語版作成など、言語能力を活かした貢献ができる
  • 文化的アドバイザー:日本の文脈についてのアドバイスを提供する役割

いきなりリーダーシップを取る必要はありません。小さな役割から始めて、信頼関係を築いていくのが現実的なアプローチです。

海外研修・留学の選択肢

短期研修(1週間〜数か月)

  • 海外施設の見学:海外のリハビリ施設を見学するツアーやプログラム
  • 学会参加 + 施設見学:国際学会の参加に合わせて、現地の施設を訪問する
  • WFOT承認プログラム:WFOTが承認した国際研修プログラム

長期留学(1年以上)

  • 大学院留学:英語圏の大学院で修士号・博士号を取得する
  • 研究留学:海外の研究室に所属して研究を行う
  • JICA等の国際協力:開発途上国でOTとして活動する

長期留学は大きな決断ですが、短期研修は比較的気軽に始められます。まずは学会参加に合わせた施設見学から始めるのが現実的です。

日本から発信する意義

世界はあなたの声を待っている

英語圏のOTコミュニティにおいて、日本からの発信は圧倒的に少ないのが現状です。これは「日本のOTのレベルが低い」からではなく、「英語で発信するOTが少ない」からです。

日本のOTには、世界に共有すべき知見が数多くあります。

  • 超高齢社会での予防的OTの実践
  • 介護保険制度のもとでの地域リハビリテーション
  • 精神科OTの長い歴史と地域移行の経験
  • 日本文化に根ざした作業活動の活用
  • 川モデルの実践例

あなたが英語で発信することは、日本のOTの存在を世界に示すことにつながります。

「完璧でなくてよい」を忘れない

この連載を通じて繰り返し述べてきたことですが、完璧な英語は必要ありません

世界中のOTの多くは、英語を第二言語として使っています。北欧のOTも、韓国のOTも、ブラジルのOTも、それぞれの英語力で国際的なコミュニティに参加しています。

大切なのは、英語の正確さではなく、あなたが持っている専門的な知識と経験を、英語という共通言語を使って共有することです。

連載のまとめ──あなたの次のステップ

全12回の連載を振り返ります。

初級編(第1〜4回):読む力 中級編(第5〜8回):使う力 上級編(第9〜12回):発信する力

あなたの次のアクション

この連載で学んだことを、ひとつだけ今日中に実行してください。

  • PubMedで1本のAbstractを読む
  • LinkedInのプロフィールを英語で書く
  • #OTalk のタイムラインを眺める
  • 興味のある国際学会のサイトを見る
  • 海外のOTに「いいね」を押す

小さな一歩の積み重ねが、やがて大きな変化を生みます。

英語は、あなたの作業療法の世界を広げる道具です。

その道具を手に取るかどうかは、あなた次第です。この連載が、その一歩を踏み出すきっかけになれば幸いです。

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